2023.03.31 更新

【2024年最新】リフォーム贈与税の非課税額は最大1,110万円!賢い節税方法とは

リフォーム資金の贈与についてまとめた図

「リフォーム資金の援助を親から受けたいけど、贈与税ってかかるの?」
「夫婦間でも贈与税がかかるって本当?」
「いくらまでなら贈与税がかからない?お得な贈与の制度ってあるの?」

贈与税の税率は他の税に比べて高く設定されているため、高額な資金援助を受けた際の影響が気になる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、リフォーム資金も贈与税の対象となります。子どもから親、または夫婦間でリフォーム費用を支援した場合も、贈与税がかかってしまいます。

しかし、リフォームにおける贈与税には基礎控除と非課税措置が設けられているため、条件によってはお得に節税することができるのです。

そこでこの記事では、

・贈与税の基礎控除と非課税措置について
・非課税措置が受けられる人と住宅の条件
・子どもから親、夫婦間での贈与に関する節税方法
・贈与税の無申告がバレるケース

などについて説明しています。

「せっかくの住宅資金なのに、家族間のやりとりで高額な贈与税がかかるのは勿体ない……」と感じている方は、ぜひこの記事をお役立てください。贈与税の仕組みがよく分かり、賢く節税することができるはずです。

Advisor

【監修】ファイナンシャルプランナー茂木禄人

[監修] ファイナンシャルプランナー

茂木 禄人

株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

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リフォーム資金の贈与は110万円までなら贈与税がかからない

リフォーム資金の贈与についてまとめた図リフォーム資金を援助して貰う方は、110万円までなら贈与税がかかりません。贈与税には基本的に110万円の控除枠があり、これを超えた分に贈与税がかかる仕組みです。

例えば、リフォームのうち300万円を親からの資金援助で行う場合、次のように課税対象額を計算できます。

300万円−110万円=190万円

300万円の贈与を受けるとき、贈与税の課税対象額は190万円です。

贈与税は生前贈与による相続税対策を防ぐため、他の税に比べて税率が高めに設定してあるので金額には注意が必要です。

しかし、父母や祖父母など直系尊属からの贈与によってリフォームを行う場合なら最大1,110万円までの非課税枠を利用できる可能性があります。次の章で詳しく解説していきます。

特殊な工事であれば贈与税の非課税額は最大1,110万円になる

リフォーム費用にかかる贈与税は、最大1,110万円まで非課税対象となります。これは、基礎控除額110万円と、併用可能な非課税措置額を足した金額です。

ただし、非課税対象となるためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。例えば、下記のような条件があります。

  • 18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与については20歳以上)の人が親や祖父母からリフォーム資金、住宅取得資金を援助してもらう場合に限る
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに入居
  • リフォーム後の住宅要件に一定の基準あり(省エネ性能基準など)
  • 所得合計が2,000万円以下

住宅購入費用やリフォーム費用を親や祖父母から援助してもらう予定の方、その可能性がある方は、贈与税の非課税対象枠の活用を検討してみてください。

下の表は、住宅取得等資金にかかる贈与税の非課税措置をまとめたものです。ご自身のケースと照らし合わせ、非課税額を確認してみましょう。

住宅の種類 非課税限度額
耐震・耐震またはバリアフリー住宅 1,000万円
その他の住宅 500万円

参照:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
※東日本大震災の被災者に適用される非課税限度額については別に定めがあります。

2-1.質の高い住宅は最大非課税額が1,110万円

一定の条件を満たす「省エネ等住宅」の場合は、非課税措置が1,000万円まで利用できます。これに基礎控除額が加わり、非課税額は1,110万円になります。

「省エネ等住宅」とは、次のいずれかの基準に適合する住宅のことを指します。

  • 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物の住宅
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅

「省エネ等住宅」であることを証明するためには、「住宅性能証明書」か「建設住宅性能評価書の写し」のいずれかの書類が必要です。

2-2.一般の住宅は非課税額が610万円

質の高い住宅に該当しない一般の住宅である場合、非課税額は500万円までです。これに基礎控除110万円が加わり、非課税額は610万円になります。

この非課税枠は、次に説明する条件を満たしていれば誰でも利用することができます。条件の数は多いですが、リフォームを検討している人の多くが当てはまるものばかりです。詳しく説明していきましょう。

2-2-1.対象となる人の条件

リフォーム資金にかかる贈与税の非課税措置を受けるために、次の条件を満たす必要があります。

リフォーム資金の贈与税がかからない対象者の条件をまとめた表契約日が2024年の後半になる人は、3つ目の項目に注意が必要です。入居期日までにリフォーム工事が完了するよう、リフォーム会社と相談しておきましょう。

2-2-2.対象となる住宅の条件5つ

リフォーム資金にかかる贈与税の非課税措置を受けるために、工事後の住宅について5つの要件を満たす必要があります。

リフォーム資金の贈与で非課税枠の対象となる住宅の条件一覧表

出典:住宅リフォーム推進協議会「リフォームの減税制度」
出典:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について」

5つ目の条件は、ご自身でどれに当てはまるのか判断するのが大変かもしれません。

事前に専門家へ相談したい方は、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが掲載している「地方公共団体におけるリフォーム相談窓口」から電話相談を受けられます。

また、費用感を詳しく知りたい方は、以下の記事を続けてお読みください。
関連:マンションにおけるリフォーム、リノベーションの費用感について解説した記事

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小規模リフォームなら贈与金は110万円までがおすすめ

一部の設備を取り替えるなど、小規模なリフォームの場合は、援助してもらう金額を110万円以内に収めるのがおすすめです。

リフォームにかかる贈与税の非課税枠を利用する場合、床や壁の修繕など、規模の大きな工事が必要になります。

そのため、「自己資金+贈与金110万円まで」を基準に、リフォーム内容や予算を組み立ててみましょう。省エネ改修や耐震補強工事を行う予定であれば、次に説明する非課税控除枠の活用がおすすめです。

住宅の名義人とリフォームの名義人が異なると、贈与税がかかる

住宅の名義人とリフォームの名義人が異なる場合、リフォーム費用に贈与税がかかってしまいます。リフォームをすると、住宅の資産価値が上がりますよね。その分、住宅の持ち主に対して、費用を負担した人が贈与者とみなされてしまうのです。

この仕組みは、子どもと親、夫と妻などの家族関係にも適用されます。

贈与税の非課税措置が利用できるのは、直系尊属からの贈与に限られているため、子から親、又は夫婦間で資金のやりとりが発生した場合、贈与税の非課税措置が利用できません。

  • 親名義の実家を、子どもが費用負担してリフォームしたい
  • 夫婦共同名義で購入した自宅を、妻のお金でリフォームしたい

住宅の名義人と、リフォームの名義人が異なるケースは家庭によっていくつかパターンがあるかと思います。この章の内容を参考に、誰が費用負担するか、どんな方法を取るのが最適か、検討してみてください。

4-1.親名義の住宅を子どもの費用でリフォームすると贈与税がかかる

実家 リフォーム 贈与税親名義の住宅をリフォームする際、子どもが費用を負担すると子から親に対する贈与税がかかってしまいます。住宅の名義人と、リフォームの名義人は一致していなければなりません。

もし、家族であっても異なる人の名義でリフォームを行った場合、建物価値を上げるための贈与とみなされてしまうのです。

例えば、実家のリフォーム費用1,000万円を子が負担すると、

▼基礎控除額を除いた、課税対象額
1,000万円−110万円=890万円

基礎控除額を除いた課税対象額が1,000万円以下の場合、贈与税の税率は40%、そこから更に控除される金額は125万円です。

そのため、贈与税額は次のように計算できます。

▼贈与税額
890万円×40%-125万円=231万円

231万円の贈与税が親にかかってしまいます。

親名義の住宅を子どもの費用負担でリフォームする場合、2つの方法で大きな課税を避けることができます。次の章でそれぞれ詳しく説明していきます。

4-1-1.リフォーム前の家の名義を親から子へ変更する

リフォーム 贈与税 名義変更リフォーム前に親から子へ建物を贈与し、子ども名義に変更することで、リフォーム費用に贈与税がかかるのを防ぐことができます。

例)建物価格200万円の実家を子どもの資金1,000万円でリフォームする

▼基礎控除額を除いた、課税対象額
200万円-110万円=90万円

基礎控除額を除いた課税対象額が200万円以下の場合、贈与税率は10%です。そのため、贈与税額は次のように計算できます。

▼贈与税額
90万円×10%=9万円

名義変更を行わない場合、親に対して231万円の贈与税がかかるのに対し、親から子へ実家の名義人を変更した場合、子どもに9万円の贈与税がかかります。家族間で見ると、贈与税の費用負担が大幅に軽くなりますよね。

4-1-2.建物価値が上がった分だけ子どもに持分移転登記する

リフォーム 贈与税 移転登記建物の価値が上がった分だけ、子どもに持分移転登記することで贈与税の課税を防ぐことができます。

贈与税は、その贈与を受けて得をした相手に対し課税されます。そのため、貰った分の対価を相手に支払えば贈与税はかからないのです。

子どもが支払ったリフォーム費用を、建物で支払う形をとることで、贈与税の課税を防ぐのが持分移転登記です。この場合、リフォームが完了し建物価値が上がった後のタイミングで、共有名義への登記手続きが必要になります。

持分移転登記での注意点は、親または祖父母が亡くなった時に、その持分が相続対象となることです。もし他の相続人がいる場合は、事前に相談しておきましょう。

4-1-3.「相続時精算課税制度」を使う

リフォーム前の住宅贈与に「相続時精算課税制度」を使うと、最大2,500万円まで贈与税がかからずに贈与を受けることができます。

この制度は、2,500万円まで非課税で生前贈与を受けられる仕組みです。ただし、贈与者が亡くなった後は生前贈与を受けた財産に対して、贈与当時の時価で相続税が課されます。いわば、贈与税の支払いを先延ばしにできるような制度です。

60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫への贈与が対象となります。一度利用すると以後ずっと「相続時精算課税制度」で贈与を受けなければならず、2,500万円を超えた金額には一律20%の贈与税が課されます。

この制度を利用するのは親の財産が家を含めて3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の額を超えない場合でしかおすすめすることはできません。

もし、条件に当てはまる場合でも、利用の際には相続専門の税理士などに相談して、慎重に方法を選びましょう。

相続時精算課税制度についてより詳しく知りたい方は、国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」をご確認ください。

4-2.夫婦間でもリフォーム費用に贈与税がかかる

夫婦共同名義で購入したマンションをリフォームする際に、どちらか一方の名義でリフォームを行うと、贈与税がかかります。また、例えば夫名義で購入したマンションのリフォーム費用を妻が負担する場合にも、同様に贈与税がかかってしまいます。

最善の方法はリフォーム費用を110万円に抑えることですが、難しい場合もありますよね。

この場合、いくつかの方法で贈与税がかからない場合があります。

4-2-1.工事前にリフォームをする人へ名義変更で贈与税は節税できる

実家のリフォーム費用を出すケースと同様に、リフォームの名義人と一致するように住宅の名義人を変更すれば、贈与税は節税できる可能性があります。

ただし、マンションのリフォームなどの場合、物件価格がそもそも低くない可能性もあります。その場合は、次の方法がおすすめです。

4-2-2.共有名義に変更すれば贈与税はかからない

リフォーム費用の負担額に応じて建物の持分を移転登記し、夫婦の共有名義に変更すれば、贈与税の課税を防ぐことができます。

リフォーム費用を支払った人に対して、リフォーム費と同じ価値の建物権利を与えます。こうして持分を分配することで、両者の間に損得が生じず、贈与税がかからなくなるのです。

4-2-3.結婚20年以上の夫婦なら2,000万円の贈与税特別控除あり

結婚して20年以上の夫婦で、自分の居住用住宅をリフォームする場合、2,000万円の特別控除を受けることができます。ただし、贈与を受けた翌年の3月15日までに居住し、以後ずっと住み続けることが条件になるため、契約から施工までの期間に注意が必要です。

住宅の価格が2,000万円以下であれば、この制度を利用し贈与税をかけずに住宅の名義人を変更することができるのです。

適用を受けるためには、税務署へ贈与税の申告が必要です。
詳しくは、
国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」をご確認ください。

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税務署への無申告はNG!贈与が把握される3つのケース

無申告の贈与を税務署に把握されるルートをまとめた図

贈与税の無申告は、複数のルートで税務署に把握されバレてしまいます。申告漏れがあると、贈与税の他にペナルティがかかる場合もあるのです。必ず税務署に贈与税の申告を行いましょう。

5-1. 住宅購入時の登記

住宅購入と同時にリフォームを行う方は、住宅購入時の登記で贈与税の無申告がバレる可能性があります。

不動産登記が行われると、税務署は法務局へ事実確認を行います。その際に、不動産の名義人は誰か、複数人であれば、その持分はいくらずつかを把握するのです。ここで、年収不相応の資金が使用されていた場合、贈与税無申告の疑いがかかります。

税務署は対象者に「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」という書類を送付し、

  • 年齢、職業、所得
  • 資金調達の方法

を確認し、資金調達の内容に矛盾がないか確認します。

5-2.住宅ローン控除の手続き

住宅資金の贈与税無申告は、住宅ローン控除の手続きでバレる可能性があります。住宅ローン控除を利用するためには、ローン1年目に確定申告が必要です。

この時、不動産登記事項証明書と年末時の住宅ローン借入金残高証明書を税務署に提出しなければなりません。ここで、住宅購入資金の実態と、登記時の持分に差異があった場合、贈与税無申告の疑いがかかります。

5-3.相続時の税務調査

夫婦間の贈与税無申告は、相続の際にバレる可能性があります。相続税が発生した際の税務調査で、贈与者の過去の預金や所得を調べます。

ここで、申告されていない高額の預金引き出し/送金があると、贈与税無申告の疑いがかかり、相続人に確認連絡がくるのです。

贈与税の無申告はいずれもペナルティ加算が生じる可能性があります。もし、贈与税が発生した場合は必ず申告しましょう。

非課税枠を超えた分の贈与税は金額ごとに税率が変わる

贈与税の基礎控除額、非課税措置枠を超えた分にかかる贈与税は、金額毎に税率が変わります。下の図は、課税価格に対してかかる税率と、控除額を一覧表にまとめたものです。贈与税 税率一覧

国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」を元に筆者作成)

具体的には、次のような計算ができます。

(例) 贈与財産の価額が600万円の場合(「一般税率」を使用)

▼基礎控除後の課税価格
600万円 - 110万円 = 490万円

▼贈与税額の計算
490万円 × 30% - 65万円 = 82万円

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申請手続きに必要な10種の書類

贈与税の非課税措置を受ける場合、税務署に提出しなければならない書類が10種あります。贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の間に、税務署に贈与税の申告を行いましょう。

次の図は、申請手続きに必要な書類を一覧表にまとめたものです。手続き準備の際、参考にしてみてください。

贈与税の非課税措置を申請する場合に必要な書類の一覧表

参照:国税庁「(令和3年分用)資産税(贈与税及び譲渡所得)関係 特例適用チェック表」

まとめ

この記事では、リフォーム資金にかかる贈与税非課税措置の仕組みや、親子間・夫婦間における贈与税の節税対策などについて説明しました。

最後にポイントをおさらいしましょう。

・リフォーム資金の贈与は110万円までなら贈与税がかかりません。

リフォーム資金の贈与についてまとめた図・リフォーム資金にかかる贈与税の非課税額は最大1,110万円
・質の高い住宅は非課税枠1,000万円、一般の住宅は非課税枠500万円

住宅の種類 非課税限度額
耐震・耐震またはバリアフリー住宅 1,000万円
その他の住宅 500万円

・対象となる人の条件
リフォーム資金の非課税措置の対象者となる人の条件をまとめた表
・対象となる住宅の条件5つ

リフォーム資金の贈与で非課税枠の対象となる住宅の条件一覧表

・小規模リフォームなら贈与額は110万円までがおすすめです。

・子どもから親/夫婦間でもリフォーム費用に贈与税がかかります。実家 リフォーム 贈与税・リフォーム前の名義変更で贈与税が減る可能性があります。リフォーム 贈与税 名義変更

・建物価値が上がった分を共有名義に移転登記すれば贈与税はかかりません。リフォーム 贈与税 移転登記・結婚20年以上の夫婦なら2,000万円の贈与税特別控除があります。

・税務署への無申告は、次のタイミングで把握される可能性があります。

①住宅購入時の登記
②住宅ローン控除の手続き
③相続時の税務調査

・非課税枠を超えた分の贈与税は金額ごとに税率が変わります。贈与税 税率一覧・申請手続きに必要な10種の書類

贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の間に、税務署に贈与税の申告を行いましょう。

贈与税の非課税措置を申請する場合に必要な書類の一覧表

どの方法が良いかは、それぞれの状況によって異なります。この記事でご紹介した方法を参考にご自身で検討してみた上で、税理士などの専門家と相談しながら、慎重に判断しましょう。

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