中古マンションは何年住める?「寿命と建て替え」3つのポイント

マンションの寿命

マンションを購入しても「老朽化で住めなくなったら無駄になってしまうのでは?」と心配ですよね。

ここで紹介するポイントを意識すると、人より長い寿命のマンションを見分けられるようになります。実際に、多くの人が安心性のある中古マンションを手に入れています。

寿命と建て替え問題で押さえておくべき3つのポイントとともに、実際の中古マンション見極めリストをご案内します。今後「いつまで住めるだろうか?」と悩むことはありません。後悔しない住宅購入をすることができます。

【1】コンクリートの物理的寿命は100年以上

建物寿命の参考資料
「建て替えたい建設業界」によって真実が歪められている日本市場

国土交通省がまとめた資料「RC造(コンクリート造)の寿命に係る既往の研究例」のなかで紹介されている資料により、十分に100年以上の耐久性があると考えられています。

鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定(飯塚裕「建物の維持管理」鹿島出版会)

1-1 日本は地震が多いから短命マンションが多い!?

マンションの供給開始時期
日本のマンション供給は1963〜1964年から

欧米には100年以上前に建てられたマンションが活躍しているのに、どうして日本にはそういった長い寿命のマンションがないのだろうと疑問ですよね。地震が多い国だからなのでしょうか?実は地震が多いからなどではなく、日本でマンションを一般供給しはじめたのが「1963〜1964年」だからです。つまり、まだ60年弱しか経過していないために「単純に」歴史あるマンションがないということです。よって時間の経過とともに増えてくるでしょう。

1-2「35歳男性」が「築35年」のマンションを買った場合

35歳男性
人の寿命より長くもつのか?

日本人男性の平均寿命は、2016年の厚生労働省の調査によると「80.98歳」。約81歳ですね。現在35歳の男性なら残りの寿命は【46年】です。仮に中古マンションの物理的寿命を100年とします。築35年の中古マンションを購入した場合、残りの物理的寿命は【75年】です。

よって、35歳の男性より築35年の中古マンションの方が【29年】寿命が長いんですね。技術の発展も踏まえてこれらを考えると、中古マンションの寿命はそこまで神経質になる問題ではないことがわかります。

では、100年以上の耐久性があると考えられているにも関わらず、「マンションの寿命は47年」といった意見が出てくるのでしょうか?

1-3「耐用年数」と「耐久年数」の違いが混乱の原因

この2つの言葉の定義を明確にしなければ混乱します。

耐用年数と耐久年数

■ 耐用年数は「会計的」マンション寿命

ひと言でいえば、価値としての寿命。税法上、会計上の話で、通常の維持補修を加えるという条件下で、減価償却資産が利用に耐えることができる年数のことです。中古マンションの場合は、築47年です。つまり「住める?住めない?」という物理的にコンクリートが維持される年数ではありません。

■ 耐久年数は「物理的」マンション寿命

想定する通常の使用方法にて問題がなく使用できる期間です。先ほども話した通り、国土交通省がまとめた資料「RC造(コンクリート造)の寿命に係る既往の研究例」のなかで紹介されている資料により、中古マンションの寿命は、十分に100年以上あると考えられています。

このように、インターネットの情報は「耐用年数」と「耐久年数」が入り混ざって話されているので混乱しています。単純にマイホームという視点で見たときは「物理的にいつまで住める?」という耐久年数を意識しましょう。

1-4 マンション寿命が延びつづける2つの理由

技術発展
建物延命の技術は飛躍的に発展している

(1)技術の発展

劣化していた箇所の鉄筋の張り替え、フレッシュコンクリートの注入や表面にポリマーセメントモルタルを塗布をして、実際に、築80年の鉄筋コンクリート造をリノベーションした結果、寿命は60年程度プラスされ、築140年まで伸長すると認定されたケースも出始めています。

(2)フローからストック型社会への転換

高度経済成長の時代は、新しい技術を盛り込みながら、スクラップ&ビルドと呼ばれる「壊しては建てる」を繰り返して、経済成長を促していた側面があります。こういったことから当時は「住宅寿命は30年」と言われていました。

ところが、バブル崩壊でデフレ時代に入ると、簡単に建て替え・買い替えができなくなりました。そういった時代背景がありながら徐々に「新しいもの」から「今あるものを活かす」価値観に変わりつつあるのが、まさに現在です。よって建物を壊すのではなく、新しい価値観と適切な管理や新たな技術で、建物の寿命は今後も延びていくでしょう。

1-5 マンションと戸建て、どちらの寿命が長い?

マンションか戸建か
戸建かマンションかでリスクは大きく変わる

管理費・修繕積立金がかからないことを戸建てのメリットと考える人もいますが、むしろデメリットです。戸建ても建物である以上は修繕しなければ長持ちしません。

強制的に積み立てていくマンションと違って、戸建てはすべて自己管理です。何を・どのタイミングで・いくら費用が必要なのかがわからないために、ほとんどの場合が中途半端な修繕になっているのが現状です。

適切に直していかないと、気がついたときにはダメージがひどくなり過ぎて費用が多額になるケースも少なくありません。しかし、修繕したくても資金不足のため何もやらない選択をする戸建てがほとんど。これが戸建て寿命を短命化させている原因の1つです。

つまり、自ら建物の維持管理を学び、自分を律して積み立てられる人なら、戸建てを長持ちさせることは可能です。しかし、そうでない方はきちんと管理されているマンションを検討した方が安心だと言えます。

【2】「建て替え」は本当に起こるの?

2-1「ほとんど」実現しない3つのワケ

マンションの合意形成
建替の合意形成はむずかしい

実際にマンション建替えが行われたのは、過去〜平成25年4月1日時点でわずかに218件。つまり、建替えを希望しても実現しない場合がほどんどです。これには大きな3つの要因があげれらます。

(1)区分所有者及び議決権の各5分の4以上の議決

建て替えの合意形成はかなり難しいです。なぜなら5分の4以上議決が必要だからです。建物の老朽化が進むと住民も高齢者が多くなります。その場合、管理組合が機能していない・面倒なことをしたくない・建て替え費用を負担できない…など感情的なことや経済的なことも含め、様々な反対が起こります。とくに「ここで一生を終える」という高齢者の意見が多いようです。そのため、5分の4以上議決をとることは至難の技といえます。

(2)余剰容積率がないと過大な費用を負担することになる

建て替えるにしても持ち出しは嫌ですよね。そのため、これまでに行われた建て替えは、以前よりも大きな建物をつくり、増えた部分を売りに出して建築費用をまかなっていました。ただ問題なのは容積率(その土地に建設できる建物の延べ床面積を定めたもの)です。

なぜなら容積率が余っていなければ、それ以上、延べ床面積を増やせないからです。つまり、売りに出すための部分をつくれないため建築費用をまかなえません。1960〜1970年くらいまでの建物は敷地をゆったりつかっていたため、容積率が余っている場合もありますが、それ以降の建物は容積率いっぱいでつくっている場合が多いです。こうなると建て替えの際に多額の持ち出しが必要になります。よって余剰容積率がないマンションは、かなり合意形成がむずかしいです。

(3)人気エリアの場合に限る

余剰容積率があり、持ち出しすることなく建て替えられたとしても安心はできません。なぜなら、増えた部分が売れなければ建て替え費用を回収できないからです。莫大な債務だけが残ります。つまり、「以前よりも大きな建物をつくり、増えた部分を売りに出して建築費用をまかなう」方法は、売りに出したとき買い手が見つかりやすい「人気エリア」に限られるということです。

同潤会アパートの古いものは、ろくなメンテナンスもされてこなかったにもかかわらず、七〇数年にわたって住み継がれてきた。メンテナンスをしてこなかった寒冷地マンションならいざ知らず、戦後マンションで、老朽して建替えなければならないものは、老朽化と補修費用の過分性をめぐって最高裁まで争われた建物を含めて、一棟もないと私は考える。

「マンションはいつまで住めるか (2004年) 著・藤木良明」より

つまり、ほとんどの建て替えケースは、建物の寿命というより「建て替えた方が利益になる」という経済的メリットがあったために合意形成がとれたと言えます。

2-2 マンションの最後はどうなるの?

建物の最後
自分たちの次の世代にかかる負担とは?

安心性あるマンションに住んでいれば現世代は関わらないことかもしれません。しかし、相続していった次の世代にはどんな負担がかかるのでしょうか?マンションの最後は、次のいずれかになる可能性があります。

1:建替
2:更地後に売却して残ったお金を分配
3:企業などに売却して企業が別の用途として再利用

しかし、どれも住人の経済的メリットがなければ合意形成は難しいです。そのため放置が多くなると言われています。いわゆる「空き家」ですね。これは戸建の場合も同様です。需要のあるエリアでなければ買い手は見つかりにくく、空き家として放置されます。

4:放置

マンションの場合、放置したとしても管理・修繕積立金がかかると言われています。しかし現実的には建物の終末になると、メンテナンスすることもなくなるだろう、と予想されます。

とはいえ、固定資産税はかかるので維持費用は少なからず必要です。これは戸建も同様です。ただし行政も傍観しているわけではありません。空き家は国レベルの問題なので、相続放棄や寄付など何かしらの法整備が議論・検討されています。

いずれにせよ、リスクを小さくするためには「需要のあるエリアの建物を選ぶ」ことがポイントです。

【3】長寿命マンション「2つの特徴」とは?

ここまで話してきたことを踏まえると「寿命100年を越すようなマンションを選ぶ」ことがポイントです。では、いったい何を基準に選べばいいのでしょうか?実は、長寿命マンションには2つの特徴があります。

3-1 長期修繕計画を作成して運用している

長期修繕計画
専門家が作成した長期修繕計画があり運用できているか?

管理・修繕で特に重要なのは、コンクリートの補修です。コンクリート(アルカリ性)は鉄筋や鉄骨が錆びて劣化しないように保護しています。しかし、雨水などによってコンクリートの中性化が進んでしまうと内部の鉄筋部分が錆び(酸化)を引き起こします。そうなってしまったら建物の弱体化がはじまります。

このようなことがないように修繕計画を作成します。計画に沿って修繕することでマンションの耐久性は劇的に向上します。一方で、計画的に修繕しないマンションの耐久性は劇的に下がります。よって、長期修繕計画を作成しているか、その計画は運用されているかを確認しましょう。

注意したいのは1960~1970年代に建造されたマンション。この年代のマンションの中には、当初のころ修繕計画が作成されなかったため、しばらく何も直していなかった、という可能性もあります。ただし、この年代のものが全部そうだったわけではないので、気に入ったマンションがあった場合は、いずれにせよ長期修繕計画の確認をしましょう。

3-2 環境に合わせた修繕計画がある

マンションの寿命は、環境も影響してきます。なぜなら環境によってコンクリートの修繕・管理の方法が変わるからです。たとえば、マンションが海の近くに位置しているなら、塩害対策が必要です。また日当たりや風通しも少なからず関係します。よって、その環境に合わせた修繕計画がなされているかを確認しましょう。

【結論】マンションの寿命は管理状況・修繕計画で決まる

エンパイアステートビル
高層ビルでさえ管理状況次第で長寿命になる

「エンバイア・ステート・ビル」をご存知でしょうか?1931年に建てられた高さ443m、地上102階建ての超高層ビルは、いまもなおニューヨークを代表する観光名所です。このようにしっかり管理・修繕されていれば、コンクリート造は長持ちするのです。

この記事のまとめ

  • マンション寿命は100年以上
  • 耐用年数と耐久年数を区別する
  • 戸建ての管理・修繕計画はむずかしい
  • 建て替えの合意形成は困難を極める
  • 長寿命マンションの2つの特徴

これまで話してきたようにマンションの寿命は「管理・修繕」によって変わってきます。建て替えや戸建て管理の難しさを踏まえると、「いかに長く住めるマンションを選べるか」にかかってきます。この記事の下部から「中古マンション見極めリスト」を手にいれることができます。ぜひチェックしてみてくださいね。

中古マンション見極めリスト48(無料)

■長期修繕計画が組まれているか?
■赤サビがながれでた箇所がないか?
■住宅ローン減税が使える物件か?
■掲示板の注意事項が多すぎないか?
■修繕積立金の滞納が少ない建物か?
■売却理由がトラブルではなかったか?
■…そのほか全部で48チェック項目

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