
リノベーションは良いなと思うけど、経験がないから失敗するかもしれない…と不安ではありませんか?ここで紹介するヒントをあらかじめ知っていれば、誰でも失敗せず、良い中古マンションを買って、リノベーションすることができます。
実際、この回避策を参考にすることで、多くの人が満足度の高い中古リノベーションをできるようになりました。この記事では、よくある7つの失敗例とともに、それぞれの回避策をお伝えします。これであなたも、後悔のないリノベーションを手に入れることができます。
なお、すでに所有物件があり、リノベーション設計・工事だけの場合は、「5. 設計士(建築士)の実力がない」からお読みください
目次
1. 購入・リノベ目的がなく失敗する…
リノベーションをする大きな理由に「お洒落な空間にしたい」や「暮らしやすい間取りにしたい」があります。まさにリノベーションの醍醐味の1つですよね。ですが、これだけでは、住み始めて何年か経ってから「なんでこんな家にしてしまったんだろう…」と後悔します。
なぜなら、「家を買ってリノベーションするまで」は皆さん一生懸命に考えます。でも、大切なのは「買って・リノベして・住んで」…そして「その後どうするの?」です。
つまり、最終的に家をどうしたいかの目的(ゴール)を明確にすること。目的によって、選ぶべき物件もまったく変わってくるし、リノベーションでつくる空間もまったく変わってきます。たとえば、こんな目的があります。
- 将来的に貸したい
- 将来的に売りたい
- ずっと住みたい
- 子育てしやすい家にしたい
…etc
一方で、目的(ゴール)を明確にせずに家を買ってしまうと失敗します。いざそのときになっても、対応できない家だと立ち往生してしまうからです。ざっとこんな失敗ケースがあります。
1-1 売りたくても売れない
何十年後かに売ることになった際、売却してプラスかトントンになるならいいですよね。しかし、売却してもマイナスになりローンが残ってしまうなら、売りたくても売れなくなります。
結論からいうと、築20年より新しい物件は売却時にマイナスになりやすいです。上図(築年別平均価格)をご覧ください。赤いグラフが東京都です。
新築から築20年ぐらいまで価格は下落しつづけます。たとえば、築5年の築浅マンションを購入したとしますね。この場合、30年後(築35年)に売却しようと思っても、高確率でマイナスになります。なぜなら、築20年ぐらいまでの間に、価格は下がりつづけるからです。
一方で、築20年前後以降は、価格は横ばいになっているのが分かります。相場が上昇すればプラスになることも。よって、マンションは築20年前後以降がおすすめです。
1-2 貸したくても貸せない
将来、賃貸に出そうと思っても借り手がつかなかったら困りますよね。計画倒れです。もし、最寄り駅から徒歩11分以上のマンションを購入した場合、借り手がつきにくいことは覚悟しておいた方がよいでしょう。
なぜなら、賃貸は駅から近ければ近いほど借りられやすいからです。とくに物件検索サイトなどで「徒歩10分以内」と設定する人がほとんどですよね。よって、将来的に貸しに出すことをイメージしているなら、徒歩10分以内のマンションがおすすめです。
また、リノベーションは楽しい作業です。設計時にあまりにもワクワクしてしまい、自分だけの独特な感性をつめこみすぎると、一般受けせず、借り手がつきにくくなる場合も。リノベーションするにしてもシンプルなデザインを心がけましょう。
1-3 住みたいけど住めない
購入した家で永く暮らしていると、間取りが合わなくなります。なぜなら、家族構成やライフスタイルが変わるからです。実際に、間取りが合わなくなったことが要因で住み替える人もいます。事実、住宅購入者の約6人中1人が住み替えを検討しています(長谷工総合研究所調べ)
原因の1つは、いろんなことを想定して造られた「ガチガチ空間」です。なぜなら、想定外が起きてしまった際、柔軟に対応できないから。
たとえば、将来的に子供部屋が必要だろうとあらかじめ1つ部屋を用意したとします。しかし、想定外にもうひとり子供が増えたらどうでしょうか?想定外に部屋はいらないと言われたら?想定外に親と一緒に住むことになったら?未来に何が起きるかなんて誰にもわかりません。そんなとき「ガチガチにつくられた空間」では対応できないと思いませんか?
オススメは、いまの時点で必要最低限の間取り。部屋の数はできるだけ少なくしましょう。かなり広くて余白のある空間になります。とても気持ちが良いです。そして、何か想定外なことが起きて部屋が必要になったら、余白の箇所につくればOKです。逆に、部屋をつくる必要がなかったらラッキー。心地いい広い空間を維持できます。
1-4 子育てに向かない空間
壁で細かく仕切られた空間は死角が多いですよね。ヨチヨチ歩きの小さい子供がいる家庭では大問題。ほんの少し台所にいった瞬間、見えないところで子供がゴチンと頭を強く打ったりと気が抜けません。
子育て家族にとっては、台所に立って全体を見渡せる空間にすると安心です。そのためには、できるだけ壁のない空間にしましょう。もし、子供が大きくなって子供部屋が必要になったら、後で壁をたてて部屋をつくればOKなのですから。
失敗1を回避するには?
家を買ってリノベーションする前に、目的(ゴール)を明確にしましょう。
そうすれば「買うべき物件」と「するべきリノベーション」がはっきりと分かります。いざそのときになっても、計画通りに対応できます。 |
2. 予算設定を間違って大怪我する…
「いまの預貯金がこれくらいだから予算はこれくらいにしよう!」「いまの家賃と同じくらいの月々の支払いだったら大丈夫だろう!」…という感じで予算を決めていませんか?実はこれだと大怪我します。
何となくではなく客観的に予算を決めましょう。なぜなら、予算設定を間違ったために、あとになってしわ寄せが来てしまうケースがあまりにも多いからです。たとえば、東京都の平均年収で使える住宅予算(4人暮らし)は2,900万円ですが、首都圏で販売されている物件価格は平均5490万円(平成28年)です。
つまり、およそ2500万円分の犠牲をどこかで支払っているんですね。その顕著な項目が、購入時には見えていない「老後資金」と「奨学金」です。家族のために目一杯の家を買った(つくった)けれど、家族にしわ寄せがいっている…本末転倒ですよね。
失敗2を回避するには?
住宅予算は、感覚的に決めないようにしましょう。客観的な第三者に算出してもらうことをお勧めします。なかでもファイナンシャルプランナー(FP)さんにお願いすると良いでしょう。これからの人生のライフプランを作成しながら、住宅予算を出してくれます。 ただし、ファイナンシャルプランナー(FP)さん選びで注意していただきたいのは、物件ありきではなく、人生ありきで考えてくる人にお願いすることです。 物件ありきの住宅予算とは?「この物件を買えますか?」「住宅予算4,000万円は大丈夫ですか?」という問いに対して、YESかNOで回答するFPさんはオススメできません。なぜなら、住宅以外の予算を削れば買えると計算する人がわりと多いからです。 たとえば、老後をギリギリで暮らし、旅行や趣味もできるだけ我慢して、これからの人生を家のために捧げれば買えるという計算です。これでは本末転倒ではありませんか?不自由になるために家を買うのと同じです。 人生ありきの住宅予算とは?人生ありきで考えてくれるFPさんは、YESかNOで答えません。人生で大切にしていること・老後のライフスタイル・旅行や趣味…などのヒアリングをします。 そして、人生を豊かにするものを叶えた後、残ったお金が住宅予算という方針です。よって「何千万円までなら安心ですよ」と回答してくれます。 もし、人生ありきで考えてくれるFPさんをお探しの場合は、気軽にお問い合わせくださいね。「IeROHA」がオススメするFPさんをご紹介します(無料) |
自分の年収から目安となる住宅ローンの金額を確認したい方は【年収別】住宅ローン目安表!その予算で住めるエリアは?広さは?をご覧ください。
3. 悪い物件を買ってしまい失敗する…
中古マンションは耐震や耐久性が心配ですよね。家のなかはリノベーションで良くなったとしても、建物本体がダメだったら元も子もありません。
物件検索サイトで家を探すとき、少しでも”良い”物件を見つけようと「築浅」を重視していませんか?しかし建物の耐震や耐久性に影響するのは、「築年数」よりも「管理・修繕状況」です。
国土交通省がまとめた「RC造(コンクリート)の寿命に係る既住の研究例」によれば、「鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定」飯塚裕1979(「建築の維持管理」鹿島出版会)となっており、十分に100年は超える耐久性があるものと考えられています。
実際に、ニューヨークにある「エンバイア・ステート・ビル」は、1931年に建てられていますが、いまなお摩天楼を見下ろす超高層ビルです。
ただし、この場合「しっかりと管理されている」ことが前提です。管理がおろそかになれば、コンクリートの中がボロボロになり、耐久性や耐震性は著しく低下します。
注意してほしいのは、「築浅」だからといって、管理が良いわけではない、ということです。むしろ、築15年以降のマンションの方が安心の場合もあります。なぜなら、マンションの管理・修繕というのは、だいたい15年くらいで一巡します。この15年をしっかり管理したマンションは、このまま管理される傾向にあります。一方で、この15年を良い管理がされていないマンションは、耐久性や耐震性に不安が残ります。
そして、15年より築浅のマンションは、これからしっかり管理するかもしれないし、しないかもしれない。実績がないので誰にもわかりません。ある意味ギャンブルです。
失敗3を回避するには?
築浅のマンションは見た目が綺麗ですよね。でも、これから20-30年も経てば、立派な中古マンションです。築浅や見た目にとらわれず、しっかり「管理・修繕」されているか、これからも「管理・修繕」していく計画があるかを見極めることが重要です。 では、どうのように見極めればいいのでしょう?それには次の項目である「会社選びで失敗しないこと」です。 |
マンションの寿命についてより詳しく知りたい方は、中古マンションは何年住める?「寿命と建て替え」3つのポイントをご覧ください。
4. 会社選びを間違えて台なしになる…
リノベーションを依頼する会社選びを間違えると、思い通りの空間にはなりません。なぜなら、リノベーションのパターンによって進む道が変わるからです。あなたにはどのリノベーションが最適なのかを判断して選びましょう。
たとえば、リノベーション方法としては、大きく分けると3つのパターンがあります。
リノベーションで理想の家づくりをしたい方は、ワンストップリノベーションをお勧めします。なぜなら、中古を買ってリノベーションというのは、不動産・設計・工事の一気通貫プロジェクトだからです。
不動産屋さんは、売買のプロではありますが、設計・工事のプロではありません。
設計士さんは、設計のプロではありますが、不動産・工事のプロではありません。
工務店さんは、工事のプロではありますが、不動産・設計のプロではありません。
ワンストップリノベ会社の場合、物件探しの段階で建物調査をする会社もあります。安心を得るために、そういった会社に依頼すると良いでしょう。
このように、すべての段階で意思疎通ができて、はじめて理想の住まいをつくれます。
「自分でリノベ」のように、あなたが全て把握して各業者に指示できれば、大丈夫かもしれません。ただし、今から学び、実践して、各セクションでプロ品質レベルになるには、相当の時間と覚悟が必要でしょう。つまり、現実的には難しいです(仕上がりや安心性にこだわらなければ可能です)
失敗4を回避するには?
リノベーションで理想の住まいを叶えたい方は、ワンストップリノベーションを選ぶと良いでしょう。詳しくは、この記事「自分にピッタリのリノベーション会社の選び方がわかる6つの手順」をご覧ください。 |
5. 設計士(建築士)の実力がない…
リノベーションのデザインがうまくいくかどうかの最たる要素はなんだと思いますか?ズバリ「あなたと設計士の相性」と「そもそもの設計士の実力」です。
なぜなら、設計士との相性が悪い場合、なかなか本音を言えません。あるいは、引き出してもらえません。そうなると、細かいことを伝えられず、どこかすっきりしないまま進むことになります。そうやって完成した空間は、やはり満足度は低いです。
また、設計士の実力不足だと、そもそもアイデアの引き出しが少ないため、ピタッとイメージどおりにはなりません。とはいえ、コロコロと設計士(建築士)をチェンジすることは現実的ではありませんよね。その都度、お金もかりますので。
では、どうやったら相性の良い、実力ある設計士(建築士)さんと出会えるのでしょうか?
失敗5を回避するには?
小規模(*1)のリノベーション会社がおすすめです。具体的には20〜30人以下の会社。なぜなら、小規模の会社の設計士は、創業期メンバーの経験豊かな設計士の可能性が高いからです。 創業期の経験豊かな設計士は、もちろん引き出しも多く、いろいろなアイデアを持っています。また、人間的にも経験を積んでいるので、いろいろなタイプの方に対応できます。 一方で、大規模・中規模リノベーション会社だと、大抵、実力ある創業メンバーは管理者になっています。つまり、実際に担当する設計士は、あまり揉まれていない経験不足の場合があります。そうなると、引き出しが少なかったり、対応できるお客様のタイプが限られる場合もあります。 よって、20人以下の会社に依頼する方が、経験豊かで実力ある設計士に出会う確率が高いです。市場シェアよりもクオリティを追求するために、あえて事業規模を拡大しない会社もあります。そういった会社を探されると、充実したリノベライフになるでしょう。 *1:小規模とは20人以下の会社(参照:中小事業庁HP) |
6. 見えない箇所からトラブルが発生する…
中古のマンションでも、見た目が綺麗ならそのまま住めるかも…と思うかもしれません。しかし、見えない部分の造りが古かったり、傷んでいたりすることで多額の弁償にまで発展してしまう可能性があることをご存知ですか?
特に、床下の「給水・給湯管・排水管の老朽化」は見えないので注意が必要。なぜなら、老朽化により漏水しやすくなっていることが多いからです。
実際、老朽化した給排水管から知らないうちに漏水し、下階の住人とトラブルになることはあります。そして「漏水を起こした部屋の区分所有者」が責任をとらなければなりません。
そうなった場合、まず原因になっていそうな床を壊し、配管をすぐに直す必要があります。さらに、迷惑をかけた下階を原状回復する工事、壊れた家財などを弁償する義務もあります。もし保険等に入っていなければ、 100万円単位の実費負担が発生することもあります。それに加え、マンション内の人間関係がぎくしゃくしてしまう恐れもあります。
失敗6を回避するには?
ケチらずに配管は必ず交換しましょう。リノベーションの際に、古い配管は全て新しくすることで「安心」を得られます。ただし、配管工事は難度が高いので、配管の知識経験のあるリノベーション会社に依頼しましょう。 |
7. 工事の仕上がりがイメージと異なる…
新築マンションとはことなり、中古マンションはコンクリートがやや変形していたりするので、新築時のように、ピタッと寸分狂わずに仕上げるのはかなり難しいです。そこは、あらかじめ理解しておくと良いでしょう。
問題なのは、設計の打ち合わせの際にはイメージどおりのプランができたのに、いざ工事に入るとイメージ(壁の色やキッチンの高さ…等)と違う、となったときです。完成してから「イメージと違う」となってもやれることに限界があります。場合によっては、追加費用が必要になります。
失敗7を回避するには?
工事中も現場状況を確認できるようにしましょう。完成するまで「待ち」の状態ではなく、積極的に現場に絡んでいくことをお勧めします。設計士さんや現場監督さんから定期的に現場状況を画像で共有してもらうようにしましょう。 もし、現場に行ってみる場合は、職人さんたちに差し入れするのもお勧めです。職人さんも人間です。どんな人のためにつくっているのか、と顔が見えた方が気持ちをこめらます。それに、その心遣いが職人さんたちも嬉しいのです。 これは、設計士でも現場監督でもなく、あなたにしかできないことです。理想の住まいをつくるという、ひとつのプロジェクトチームですので、ぜひチームメンバーと絆をつくってみてはいかがでしょうか。 |
この記事のまとめ
- 最終的に家をどうしたいかの目的(ゴール)を明確にしましょう。
- 住宅予算は、客観的な第三者に算出してもらうことをお勧めします。
- 築浅や見た目にとらわれず、しっかり「管理・修繕」されているかを見極めることが重要です。
- リノベーションで理想の家づくりをしたい方は、ワンストップリノベーションをお勧めします。
- 小規模の会社は、創業期メンバーの経験豊かな設計士が担当する可能性が高いです。
- ケチらずに配管は必ず交換しましょう。
- 定期的に現場状況を画像で共有してもらうようにしましょう。
これまでお伝えした「よくある7つの失敗例」と「それぞれの回避策」を参考にしてみてください。実際、多くの人が満足度の高い中古リノベーションをできるようになりました。これであなたも、後悔のないリノベーションを手に入れることができます。
コメント