中古マンションをリノベーションするデメリットや落とし穴とは?

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マイホームを購入する際、戸建てや新築マンションを買うのではなく、「中古マンションを購入してリノベーションする」方法を選ぶ人が増えています。一方で、中古マンションをリノベーションする場合に、それに伴って生じるかもしれないデメリットや、注意すべき要素について気になる人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は主に、「中古マンションリノベ」に伴うデメリットや落とし穴について取り上げます。中古マンションを購入する前に知っておくべき要チェックポイントがわかるので、ぜひ読んでみてください。


【1】中古マンションのリノベーションのデメリット・落とし穴

中古マンションをリノベーションするときはどんなデメリットや落とし穴があるのか、さっそく具体的に紹介していきます。

1-1.サッシと玄関ドアの交換はできない

マンションでリノベーションができるのは専有部分のみで、共用部分を自由に改修・交換することはできません。住戸内のほとんどは専有部分ですが、窓のサッシ、玄関ドア(外側のみ)、バルコニーなどは共用部分なので、リノベーションの対象外です。

ただし、窓の内側に二重窓を設置することは可能です。二重サッシにすれば防音性能が格段に高くなり、古いサッシは目に入りにくくなります。玄関ドアはドア自体の交換はできませんが、内側を塗装したりシートを貼ってきれいにしたりすることは可能です。

1-2.水回りの大幅な移動は難しい場合も

リノベーションでキッチンや浴室などの水回りを大きく移動させるのは難しいというケースもあります。これはその物件によるため一概に言えませんが、ダクトや排水管の経路の確保やパイプスペースから伸びる菅の位置による場合もあります。

通常のリフォームで対応可能なのはキッチンの向きの変更、トイレ・お風呂の多少の移動、などです。ダクトや排水管まで工事するとなると、マンション専有部の躯体を残してすべてをリノベーションする必要があります。

水回りの大幅な移動が可能かどうかは一般的な不動産会社では判断できないこともあります。物件にもよりますが、ワンストップリノベーションを手掛けている会社であればノウハウを持っていて、判断できる可能性があります。そもそも管理規約で水回りの移動がNGとなっているマンションもあるので、購入前にしっかりと確認しておきましょう。

1-3.追い炊き機能はリノベで追加できない

給湯器の追い焚き機能も要注意です。購入する物件の給湯器にもともと追い焚き機能が備わっていないと、あとからその機能を付けることは困難です。

追い焚きをするには追い焚き管が必要です。給湯器にあとから追い焚き管を設置すること自体は不可能ではありませんが、その場合はマンションの壁にスリーブ(穴)を作って追い焚き管を通すという「追い炊き配管」を行わなければなりません。多くのマンションでは規約でコア抜きと呼ばれるこの工事を禁じており、仮に許可が得られたとしても配管のための調査費、工事費がかなり高額になります。

マンション購入時、この追い焚き機能の有無は見逃しがちです。不動産会社も十分な説明をしていないことがあります。追い焚き機能を使いたいときは給湯器に追い炊き管があるかどうか、確認を怠らないことです。付属していれば、給湯器の管の本数は合計で4本ついています。

1-4.マンションの電気容量が小さい場合がある

築年数の古い中古マンションでは、各住戸の電気容量が30アンペア以下になっていることがあります。最近の新築マンションでは標準で40アンペア、電力会社と契約すれば60アンペアまで上げられるというケースもあります。利用したい家電や設備によっては30アンペアでは容量が足りないという家庭もあるかもしれません。

マンションは建物全体の電気の供給量が決まっています。事前に物件の電気容量と、容量を上げられるかどうかのチェックをしておきましょう。

1-5.インターネット回線はしっかりとした指示が必要

光回線は光配線方式、VDSL方式、LAN方式など、マンションによって異なる接続方式が採用されています。中には光回線ではなく、CATV回線やADSL回線が引かれているマンションもあります。リノベーションを依頼する際は、これらの状況に応じた工事をしてもらうようしっかりと指示することが必要です。

通常ではあまりないことですが、小さな工務店などが知識不足から光配線方式なのにVDSL方式と間違えて電話回線のみを配線してしまい、結果、ネットが使えない…といったトラブルが発生するケースも見られます。完成後にトラブルが発覚して工事をやり直すには、再び壁を剥がすことになり非常に面倒です。

また配線だけではなく、ONU(またはモデムやルーター)をどの部屋のどの位置に設置するのかも詳細に指定してください。LANケーブルを配線しやすく、Wi-Fiの電波が届きやすい場所を確保しておかないと、あとあと不便な思いをすることになります。
リビングに設置するケースが一般的ですが、邪魔だという判断でウォークインクローゼットに設置して無線を利用するケースもあります。

1-6.フローリングにできないマンションがある

カーペット敷きの床をフローリングに変更したいと思っても、マンションによっては規約で禁じられているケースがあります。フローリングは階下に音が響きやすいからというのが主な理由です。1階のみフローリングが認められているケースもあるので、この件に関しても規約をよく読んでおくべきです。

1-7.壁が取れないマンションもある

リノベーションで需要が高いのが間取りそのものの変更です。ただし、部屋の間仕切りを一旦すべて取り除き、自由な間取りに変更するには「ラーメン構造」のマンションであることが条件となります。「壁式構造」の場合はすべての間仕切りを取り外すことはできず、間取り変更に制約が生じます。

四隅に柱がある場合はラーメン構造

ラーメン構造は柱と梁で建物を支える構造です。間取り図を見て専有部の隅に柱の出っ張りがある物件はラーメン構造の可能性が高いと言えます。逆に、ない場合は壁式構造です。

1-8.最上階は断熱のため天井をむき出しにできない

眺望や日当たりがよく、リノベーションの際も上階の住人に許可を取る必要がないため工事の承諾を得やすいのが最上階です。しかし、最上階の部屋の天井裏には断熱材が入っていることが多く、その場合は天井をむき出しにするデザインにはできません。最上階を購入するときはその点を確認してください。


【2】戸建てと新築マンションの比較

 

一戸建て(建売)

中古マンション
リノベ
新築マンション
予算
エリア自由度
間取り

ここからは戸建てと新築マンション、中古マンションリノベの3つそれぞれのメリット・デメリットを見ていきます。「建物を含めてすべて新品」という点では新築戸建てと新築マンションが有利ですが、それ以外の「予算」「エリア自由度」「間取り」という要素ではどうでしょうか。まずは戸建てと新築マンションを比べてみましょう。

2-1.戸建てのメリット・デメリット

注文住宅にするか建売にするかでも変わってきますが、一般的に同じ立地条件なら最も予算が高くなるのが戸建てです。購入価格以外に、防犯コストや修繕費なども必要に応じて捻出しなくてはなりません。

エリア(立地)は、郊外などを選べば戸建ては物件数が多いので自由度は高いといえます。ただし、都心に一戸建てを持つとなるとかなりの予算が必要になるのは確実です。

間取りは注文住宅であれば自由度が高く、必要に応じて増築や建て替えもできます。一方、建て売りは規格化された間取りであることがほとんどです。なお、中古の戸建て住宅を購入してリノベーションするという方法もありますが中古マンションのリノベーションに比べ耐震補強や外壁などの工事が発生することもありコストが高くなることを想定しておくべきです。

2-2.新築マンションのメリット・デメリット

新築マンションの予算は戸建てに比べると安く、中古マンションに比べれば高いというのが一般的です。住宅ローンを返済していく以外に、毎月管理費や修繕積立金も支払うことになります。これは新築、中古に限らずマンションに共通する点です。

エリア自由度については、新築マンションは不利な状況です。とくに都市部の人気エリアは相対的に新築マンションの物件数が少なく、物件が見つかっても価格は高額です。

間取りに関しても、新築マンションはあらかじめ用意された中から好みに合うものを選ぶ形になります。


【3】デメリットが許せるなら中古マンションリノベの恩恵は多い

中古マンションリノベのメリットはどうでしょうか。すでに述べたような様々なデメリットもありますが、それらを補って余りあるメリットも挙げることができます。とくに以下の点においては、中古マンションリノベには大きなアドバンテージがあります。

3-1.予算、エリアの自由度が高い

マンションエンジンで東京23区の新築マンションの平均価格を見てみると6027万円、中古マンションの平均購入価格は2,900万円ほどです。リノベーションの予算は規模により様々ですが、1,000万円もかければほとんどの希望を叶えることができるでしょう。また、住宅ローンを組む際には物件の購入費用だけではなく、リノベーションにかかる費用も一括借り入れが可能です。

エリアについては、首都圏の主要な駅前の土地にはすでに多くのマンションが立ち並んでいることからも中古マンションの優位性がわかります。通勤や生活の利便性を考えて都心の駅近で暮らしたいなら、中古マンションリノベは最有力候補となるはずです。

3-2.間取りの自由さ、快適性

間取りに関しては、中古マンションはラーメン構造の物件を選ぶといったポイントをクリアすれば、非常に自由度が高いと言えます。購入した中古マンションをベースに、まったく新しい間取りを考え、快適な生活空間を作り上げることができるからです。

例えば間仕切りとドアをなくして床をフルフラットにすれば、昼間に掃除ロボットを作動させておいて、帰ってきたら掃除が終わっている生活ができます。ほかにも収納スペースをバラバラに作るのではなく一箇所にまとめて、そこに収まらなくなったらモノを捨てるといった家族ルールを決めて暮らすスタイルを実践している人もいます。子供部屋などは最初から作ってしまうのではなく、必要になったときにあとから追加する方が、無駄がなく合理的です。

このように自分たちの暮らしに合わせて長く住みやすい間取りを作れるのは、中古マンションリノベならではの大きな魅力です。


まとめ

中古マンションをリノベーションしようと考えるなら、それに伴うデメリットを正しく捉えておく必要があります。デメリットの中には、知識があれば不利益を軽減できるもの、回避できるものも少なくありません。

またメリットについても理解しておくことで、中古マンションリノベが自分にとって適した方法なのかどうかが、より深く見えてくるでしょう。

この記事を参考に、「メリットを最大限に活かす中古マンションリノベ」を目指してみてください。