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中古マンションの不動産取得税は、不動産の取得後6ヶ月~1年半の間に届く「納税通知書」を使用して金融機関で納付します。各都道府県によって不動産取得税の納付期間は異なります。
また、税額軽減を受ける場合は不動産の取得から60日以内に各都道府県税事務所への書類の提出が必要です。
この記事では中古マンションにはどの程度の不動産取得税がかかるのか、また不動産取得税の軽減対象についてお伝えします。
目次
【1】 中古マンションの不動産取得税は建物+土地の合計
不動産取得税とは、土地や家屋を売買、贈与、交換、新築・増築・改築を行った人が都道府県に納める地方税です。ただし、相続によって不動産を取得した場合は不動産取得税の課税対象外になります。
戸建て・マンションともに、売買によって取得した中古物件の税額は固定資産課税台帳に登録された「固定資産税評価額」に税率を乗じて算出されます。
固定資産税評価額は各市町村の固定資産台帳に記されています。不動産取得税の税額は、物件の購入金額から算出されるわけではない点に注意しましょう。
・土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×2分の1×3%)-控除額
・建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-控除額)×3%
※各控除額については後述
また、不動産取得税には、中古住宅と土地の両方に控除が適用されるため、控除額によっては不動産取得税がかからないこともあります。
ただし、中古マンションが不動産取得税の軽減措置を受けるためには、土地や建物がいくつかの要件を満たしていなければなりません。
【2】 中古マンションの不動産取得税の軽減の対象条件は?
中古マンションが不動産取得税の軽減の特例を受けるために必要な要件とはどのようなものなのでしょうか。土地と建物それぞれの要件や、特例の内容について詳しく見ていきましょう。
2-1.建物の税額の軽減について
建物の不動産取得税の軽減は、次の要件を満たす建物のみが受けられます。
・取得者の居住用またはセカンドハウス用として取得した建物
・床面積50㎡以上240㎡以下の建物
・次のいずれかに該当する建物であること
1.1982年1月1日以降に建築されていること
2.1に該当しない住宅の場合は新耐震基準に適合している、あるいは既存住宅売買瑕疵保険に加入している住宅でそれぞれの証明があること
3.新耐震基準に適合しない住宅の場合、入居前に新耐震基準に適合するためのリフォームを実施する中古住宅であること
これらの要件を満たした建物の不動産取得税額は、次の計算式で求められます。
(固定資産税評価額-控除額)×3%=不動産取得税
控除額は、建物の新築日によって異なります。
新築日 |
控除額 |
1954年7月1日から1963年12月31日まで |
100万円 |
1964年1月1日から1972年12月31日まで |
150万円 |
1973年1月1日から1975年12月31日まで |
230万円 |
1976年1月1日から1981年6月30日まで |
350万円 |
1981年7月1日から1985年6月30日まで |
420万円 |
1985年7月1日から1989年3月31日まで |
450万円 |
1989年4月1日から1997年3月31日まで |
1,000万円 |
1997年4月1日以降 |
1,200万円 |
※控除額は都道府県によって異なります。詳しくは取得した不動産のある都道府県税事務所に問い合わせてください。
2-2.土地の税額の軽減について
土地の不動産取得税の軽減は、次の要件を満たす土地のみが受けられます。
・2-1の建物における軽減要件を満たしていること
・取得から1年以内にその土地にある建物を取得すること
・借地の場合、1年以内にその土地を取得すること
これらの要件を満たした土地の不動産取得税額は、次の計算式で求められます。
(固定資産税評価額×2分の1×3%)-控除額(AまたはB)=不動産取得税
控除額:45,000円(A)または「(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×2分の1)×(課税床面積×2(1戸あたり200㎡を限度とする))×3%」(B)のうち、多いほうの金額
【3】 中古マンションの不動産取得税を計算
中古住宅を購入した際の不動産取得税とその軽減の特例についてわかりました。ここからは、実際に中古マンションの不動産取得税をシミュレーションしてみましょう。
3-1.軽減対象の場合の不動産取得税の計算
Aさんは、1997年5月に新築されたマンションを購入しました。Aさんの中古マンションは、課税対象となる床面積が70㎡で、共有持分の土地面積は50㎡でした。土地と建物の固定資産税評価額を調べたところ、土地部分が3,000万円、建物部分は1,000万円です。それぞれの不動産取得税を計算してみます。
・土地
まずは控除額の計算をします。控除額は、45,000円(A)
または
(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×2分の1)×(課税床面積×2(1戸あたり200㎡を限度)×3%(B)
のいずれか多いほうです。
Bの控除額を計算してみましょう。
今回のマンションの場合、1㎡当たりの固定資産税額は「3,000万円/50㎡で60万円」、課税床面積×2は140㎡となります。
計算式に当てはめると、
(60万円× 2分の1)×(140㎡)× 3%=126万円
で、126万円がBの控除額です。
Aの45,000円と比較すると、Bの額が大きいことから、控除額はBの126万円です。
次に、不動産取得税の計算式に当てはめ税額を計算してみます。
固定資産税評価額の計算式は「(固定資産税評価額×2分の1×3%)-控除額(AまたはB)」
ですから
(3,000万円×2分の1×3%)-126万円=-81万円
となり、土地部分の不動産取得税は0円になります。
・建物
1997年5月に新築されたマンションの控除額は、1,200万円です。
建物の不動産取得税は「(固定資産税評価額-控除額)×3%」で算出されるため、(1,000万円-1,200万円)×3%=-6万円
で、こちらも不動産取得税は0円です。
つまり、この中古マンションは土地・建物の両方に不動産取得税がかからないことになります。
3-2.軽減対象ではない同じ条件のマンションの場合のシミュレーション
例えば前述のマンションが自宅用ではなく賃貸に利用するための物件だった場合には、不動産取得税の軽減対象になりません。もし、同じ条件のマンションで不動産取得税の軽減を受けられなかったときにはどのくらいの額になるのでしょうか。
軽減の要件を満たさない場合の計算式は次の通りです。
土地:固定資産税評価額×2分の1×3%
建物:固定資産税評価額×3%
これを例題のマンションの条件に当てはめると、土地部分は「3,000万円×2分の1×3%=45万円、建物部分は「1,000万円×3%=30万円」、不動産取得税は合計で75万円となります。
【4】床面積が足りない場合は軽減対象外か?
不動産取得税の軽減を受けるための要件に、床面積があります。購入するマンションの床面積が50㎡未満だった場合には、税の軽減を受けられません。ただし、50㎡にわずかに届かない場合には、固定資産税評価証明書で「現況床面積」を確認してみましょう。
マンションの場合、専有部分の床面積だけでなく、共用部分を按分して加算した面積が基準になります。専有部分の床面積が48㎡でも、共用部分を加算した分で50㎡以上になっているかもしれません。現況床面積が50㎡以上であれば、不動産取得税の軽減の特例を受けられます。
【5】不動産の取得から60日以上経過してしまったら?
中古マンションの不動産取得税の軽減を受ける手続きは、取得後60日以内に行う必要があります。
取得した不動産のある都道府県税事務所にて、「不動産取得税課税標準の特例適用申請書」を土地と建物でそれぞれ用意し、必要書類を添えて提出します。
東京都の場合であれば、東京都主税局のHPから必要書類を確認できます。
ただし、申告をしなくとも、登記時の書類から判断して税事務所が自主的に手続きを行ってくれることがあります。
手続きを行う前に納税通知書が届いたら、不動産取得税の軽減の特例を適切に受けられているかどうか、自分で計算して確認してみましょう。
申告忘れで軽減が適用されていない場合は、都道府県税事務所に必要書類を提出して手続きを行ってください。
不動産の取得から60日以上経過している場合でも、手続きが可能か確認してみましょう。期限を過ぎた後でも受け付けてもらえることがあるようです。
まとめ
自身が居住するための中古マンションを購入した際の不動産取得税は、軽減の特例によって支払う必要が無いこともあります。購入後に土地・建物それぞれの不動産取得税額を計算してみましょう。
不動産取得税を計算する際は、購入金額ではなく固定資産税評価額に税率を乗ずる点に注意が必要です。固定資産税評価額は、市町村の固定資産台帳から調べられます。また、不動産取得税の軽減を確実に受けるために、マンションを購入したら60日以内に都道府県税事務所に足を運び手続きを済ませておくと安心です。
申告忘れなどで不動産取得税の軽減が受けられるにもかかわらず納税通知書に反映されていなかった場合は、都道府県税事務所で確認して軽減を受けるための申告を改めて行いましょう。
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