プロが見ているマンション購入の20の注意点「耐久・環境・管理」編

チェックリスト

当社では中古マンションを購入するときの注意点を内見者と一緒にチェックしています。
そのポイントをこの記事で解説していきますので、是非とも活用してください。

この記事では、プロでなくても確認できるものを多く網羅しました。
自身では入手しづらい情報も少々ありますが、仲介担当者に確認すれば入手できるものをあげています。

自分ではわかってはいるつもりでも、ついつい慣れてないので見落としがちです。
よって、この記事を覚えていなくても内見でスマホ片手にチェックできるように、巻末にはチェックリストもご用意しております。

また、中古マンションを購入する時の注意点20「改修・居住・売却理由」編も合わせてお読みください。

岩原邸の照明


【1】建物の耐久性

check-1 外壁に目立つひび割れや剥がれはないか?

3mm以上のひび割れがあると、内部に雨水が侵入します。
雨水が侵入すると、鉄筋が腐食し、耐久性に問題を生じます。

check-2 鉄筋がむき出しになってないか?

外壁が剥がれ、鉄筋がむき出しになっていると、やはり鉄筋の腐食が進み、耐久性に問題を生じます。

check-3 赤サビが流れ出た箇所がないか?

外壁にひびが入り鉄筋の腐食が進みます。
外壁に赤サビが流れ出てきた後がある場合は、内部でも腐食が進んでいます。
しかし、コンクリート自体はアルカリ性で錆を抑制しますので、早々に修繕されていることが大事です。

check-4 共用廊下にひび割れ、歪み、傾きがないか?

地盤が傾いている可能性や、鉄筋の数が少なく耐久性に問題がある可能性があります。

check-5 バルコニーの手すりや非常階段などの鉄部がさびていたり、ぼろぼろになっていないか?

バルコニーの手すりや階段の鉄部からは雨水の侵入経路になります。
ちゃんと修繕がされているかチェックしましょう。

check-6 「1981年6月以降」に建築確認を受けた物件か?

1981年5月までに建築確認をしたマンションは旧耐震基準になります。
ただしインターネットで物件検索すると、この基準(建築確認の時期)で探すのが困難です。
よって、1983年以降に完成したマンションという見方で探すと良いでしょう。

こちらの記事「新耐震基準と旧耐震基準ってどれくらい違うの?」も参考にしてください。

check-7 1階が駐車場(ピロティ)ではないか?

1階部分が駐車場(ピロティ)になっているマンションは、構造上そうでないマンションより一般的に耐震性能が劣るといわれています。

古河の廊下


【2】環境の安心性

check-8 【防犯面】住人同士のつながりはあるか?

住民の関係性はオートロック有無よりも実はセキュリティに大きな影響を及ぼします。住民同士が挨拶をし合っているかも重要な確認ポイントです。
警視庁の調べでも、犯罪者が犯罪を諦めるのは住民の目であったり、住民から声をかけられたことなどが要因となるとのことです。

情報交換が活発かどうか、掲示板等もチェックすると良いでしょう。

check-9 【防犯面】バルコニーは侵入されやすい位置にないか?防止措置を行えるか?

空き巣の危険度は「戸建 > マンション1階 > マンション最上階 >マンション中階」という順番です。
マンションにおいては、1階がやはり気になります。
とは言っても、空き巣に入らている理由の多くは「戸締りをしてなかった」というものです。
それだけでかなり防犯対策になります。

こちらの記事「実はマンションの1階が住みやすい3つの理由」も参考にしてください。

check-10 【防犯面】エレベーター、エレベーターホールに防犯カメラは設置されているか?

防犯カメラが設置されているだけで、犯罪者への心理的プレッシャーになります。

浦和のリビング


【3】管理の状況

check-11 エントランス・駐輪場・ゴミ置場など共用部分の清掃状況は確認したか?

一見して、共用部分が片付いてない、使われてない自転車が放置、ゴミが散乱しているマンションは住人のモラルの低さが疑われます。

check-12 過去の修繕履歴が一覧であるか?

管理がしっかりしているマンションは、履歴が残されています。
しかし、自主管理の場合は組合員の入れ替わりにより、履歴を喪失してしまっている可能性もあります。
喪失されているからといって、修繕されてないわけではありません。
その場合は、直近でいつ大規模修繕が行われたのか確認しましょう。
一般的には12年前後で行われるのが理想です。
確認先は、管理人か管理組合になります。

check-13 長期修繕計画が組まれているか?

長期修繕計画表があるマンションは、修繕積立金が将来的に足りるのか確認することができます。
もし、資金が枯渇するような計画であるならば、今後毎月の積立金が上がる可能性があります。
長期修繕計画表がない場合は、過去の修繕履歴から考えて、今後もきちんと修繕していくのだろうかと推測することになります。

check-14 管理費・修繕積立金の額は妥当か?

㎡数や設備により様々ですが、簡単に記憶できる数字としては管理費と修繕積立金を合わせて3万円以下であれば妥当かと思います。
しかし、3万円以上がダメだということではなく、自身が支払う毎月のローン支払い額と合わせて無理がなければ良いと思います。
管理費・修繕積立金が高額なので、物件金額自体が安いという場合があります。

check-15 修繕積立金は十分に集められているか?

こちらも簡単に把握できる数字として、1戸あたり、100万円以上の積立金があれば大規模な修繕に対応可能です。
もし、この金額がマンション全体で積み立てられていなくても、直近で大規模修繕をしたばかりだということであれば問題ないかと思います。

check-16 議事録を閲覧できるか?

議事録には建替予定や、現在マンションで問題になっていることがうかがえます。

議事録

check-17 管理は管理会社に委託しているか?自主管理か?

マンションによっては、管理を管理会社に委託せずに、自主管理をしているマンションがあります。
メリットは、管理費が安いことではあります。
デメリットは住人自身で「清掃・植栽管理・修繕依頼・書類保管」等々の煩雑な仕事をする必要があることです。
その場合、住人自身の手が回らなくなり、管理状態が悪くなってしまう場合もあります。

ただし、自主管理でも住人のモラルが高いマンションは、住人同士でのコミュニケーションがとれています。
よって、防犯・管理・環境・修繕の面でも管理会社に任せるよりしっかりしている場合も多くあります。

check-18 廊下や階段の電気など壊れたままのものはないか?

電球が取り替えられてなかったり、消防関係の非常用ベルのボタンが破損していたり電気機器類の交換がされてないようだと、修繕・管理資金が不足になっている可能性があります。

check-19 設計(竣工)図書は保管されているか?

マンション新築時の設計図書があれば、リノベーションを行う時に非常に役立ます。
設計図書がない場合は、当初設計したリノベーションの設計が、内部解体後に設計変更になる可能性があります。
例えば、解体したら予想に反して床がデコボコであった場合は、水平にするための部材が余計にかかり、見積もっていた以上の金額になってしまうこともあります。

建築図面

check-20 掲示板の告知事項に何が書かれているか?

エレベータや掲示板なども、管理のバロメーターになります。
例えば、エレベータに落書きや破損がある、掲示板に騒音やペット、共用施設の使い方などトラブルに関する注意書きなどがある場合は要注意です。
特に貼り紙には隣人関係などのトラブルやマナーの状況などの様子がうかがえるので要チェック。
また管理活動の内容も確認できます。

以上の、修繕履歴、修繕計画、議事録、修繕積立金の額、設計図書の確認先は一般的には管理会社への確認になります。
管理会社を入れてない、自主管理のマンションの場合は管理組合に確認する必要があります。
これらの書類はなかなか要求しづらいものですので、仲介担当者に取得するように依頼しましょう。


まとめ

中古マンションを購入する時のチェックポイントは多岐にわたりますので、このチェックリストを手元に置いて確認してください。
仲介会社の担当にも、必ずこのチェックポイントを聞くようにしてください。
特に、管理会社や管理組合に依頼して取得するような書類は、自分ではなかなか聞けないものです。
これらの書類も忘れずに仲介担当に確認しましょう。
全てのチェックにOKが出る完全なマンションがありませんが、できるだけ多くのポイントが良好であるものを選んでください。

中古マンションの選び方は「この7ポイントだけ守れば絶対に大丈夫!」もご参考にしてください。

これらのチェックリストはIeROHAメンバーズ会員登録で最新バージョンが確認できます。
是非活用してください。

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