住まいをいつ購入するのか、超低金利と言われている今の状態がいつまで続くのか、変化が起きるとしたらどんなタイミングなのか…。金利の上下は人生の大きな買い物である住宅にとって切っても切れない関係ですから、将来の動向が気になりますよね。
本記事では、そんな金利についての考え方を、住まいの購入タイミングと絡めてお伝えします。
目次
1.金利は今後上がる?下がる?……答えは「誰も知らない」
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金利について知るために、まずは手軽にインターネットで検索して情報を得る方も多いはず。例えば「住宅ローン 金利予想」で検索してみると、果たして金利は上がるのか?下がるのか?様々な予想が出てきます。
銀行の動向、株価の値動き、国の施策の影響、東京オリンピック……
ファイナンシャルプランナーや投資家、不動産業者などの専門家から、住宅情報が気になる一般の方までが、様々な視点から金利予想をしていることがわかるでしょう。
中にはアフィリエイトブログも混ざっていますから、ネット検索に慣れていないと気づいたら企業サイトに誘導されていて、知りたい情報がわからなかった…なんてこともあるかもしれません。それでも金利の動向をはっきり知りたい!と一生懸命時間を費やして情報を調べても、「結局どうしたらいいのかわからない」という結論になる可能性は非常に高いです。
それはなぜなのか。
検索してもわかる通り、金利の値動きはさまざまな要素によって変わるからです。ありとあらゆる情報を総括して予想しても、思いも寄らない原因から変動することもあります。それらすべてを把握することは困難ですし、把握したところで正しい予想ができるとは限りません。
つまり、未来を予測しきることは不可能なのです。
誰にもわからない金利予想。では、住宅購入は何を指針にすれば良いのでしょうか。
それは、「支払う金額が決まっていること」と「自分が健康であること」です。どういうことなのか、次の項目からご説明します。
2.「支払う金額が決まっている」ことと「健康」が指針
2-1.全期間固定をすすめる理由
金利タイプには全期間固定金利型、変動金利型、固定金利選択型などがあります。「支払う金額が決まっている」というのは、「全期間固定金利型」を選ぶ、ということです。
全期間固定を選ぶと、支払う金利は返済が終了するまでずっと固定で、たとえ市場における金利が上がっても影響を受けることはありません。
もちろん、金利が下がったとしても自分が返済する金利は下がらないので、その点では損をすると言えますし、最初に設定される金利額も、他の金利タイプに比べるとやや高めになります。
しかし、これらのデメリットがあったとしても、支払う金額が決まっている全期間固定金利のメリットは計り知れないのです。その理由は以下の通り。
・人生の長期的プランニングをしやすい
・繰り上げ返済などの計画が立てやすい
・金利の上下や世間の動きを気にせずに済む
変動金利型を選ぶ場合、いつも金利の変動を頭の片隅に入れておかなければいけません。下がればうれしいかもしれませんが、逆に来年から支払いが増えるかもしれないと不安を覚えることが、精神的に良いこととは言い難いでしょう。
また、金利変動型を選ばないと購入できないような住まいは、長期的に見てリスクが高くなる場合があります。
変動金利の場合、借りられる額を現在の金利から換算してしまいがちですし、トータルで見たときに身の丈以上の金額を借りていた、という結果になりかねないのです。その場合、未払い利息のリスクもあります。
おすすめ記事>【固定・変動】住宅ローンの金利の種類と賢い選び方
2-2.健康と住宅ローンの関係
では、「自分が健康であること」が住宅購入の指針になるのはなぜなのでしょうか。住宅購入をする多くの方は住宅ローンを組みますから、健康であることは毎月の住宅ローンを確実に返済していくためには欠かせない要素です。しかし、実はそれ以上に大切なことがあります。
そもそも、健康でなければ住宅ローンを組むことができない、というのがその理由です。
住宅ローンの審査は団体信用生命保険(団信)の加入が基準となっています。団体信用生命保険とは、もしも契約者が死亡または高度障害状態に陥った場合、住宅ローンを肩代わりして残債を支払ってもらえる保険です。
団信には、健康リスクがある場合加入できない可能性があり、最悪の場合住宅ローンそのものを組むことができません。
年齢が上がるにつれて健康リスクは高まりますし、金利変動以上に将来が読めないものです。
金利が低くなったタイミングで購入する方法もありますが、まずは自分が健康なうちでなければ、そもそも住まいの購入ができなくなる恐れがあることを忘れないようにしてください。
2-3.将来、金利が下がっても得にはならない?
前項にて「金利が低くなったタイミングで購入する方法もある」と言いましたが、そもそも金利が下がったとしても、必ずしも自分にとって得かどうかはわかりません。こんなケースをシミュレーションしてみましょう。
例えば、オリンピック後に金利が現在より0.5%下がることがわかっていたとします。2018年8月時点で、フラット35の金利は1.06%です。
3000万の借入をするとしたら、返済総額は約3592万円。これが0.5%下がって0.56%になれば約3304万円になり、差額は288万円です。
288万円も違いが出るのなら、やはり金利が下がってからの方が得じゃないか!と思われるかもしれません。
ですが、オリンピックまでにも生活費はかかります。現在の家賃が月10万円だとすると、オリンピックまではこの記事を書いている時点では26ヶ月以上の期間があります。
それまでに支払う家賃の合計は、単純計算で260万円です。
得をしたのは、28万円、というのが実際です。
もちろんこれはシミュレーションですから、金利が下がることでもっと得ができる可能性はゼロではありません。ですが、すでにお伝えした通り金利の上下は読めないもの。金利だけを見て住宅購入を考えるのが得策ではないとわかるでしょう。
2-4.投資と住まいの購入はゴールが別
では、必ず得をするわけではないのになぜ住宅購入では金利、金利と言われるのでしょうか?
その理由を知るにはまず、住宅購入には「投資のための購入」と「自分が住まうための購入」の2種類があることを押さえておきましょう。
投資として住宅を購入する場合は、売買の差額で利益を出すことがゴール。そのため、金利動向に注目する必要があるのです。
一方で住まうための購入において重要なのは「安心して長く暮らすための道具としてきちんと機能する」こと。
高い買い物ですから少しでも得をしたいというのは人間の心理ですが、損得勘定だけで購入を決めて良いのは、投資の場合です。
トータルで見た時に、ずっと安心して暮らせるかどうかで住まいを決めるべきでしょう。
3.住宅ローンの返済比率を20~25%に設定するのが安心
購入した住宅に安心して長く住まうためには、「きちんとローンを返せるだろうか」という不安は払拭すべきです。
全期間固定金利をおすすめするのも、金利の上下によって返済に不安が生じるなどが無いようにするためというのはすでにお伝えした通りです。
金利の他に留意しておくべきなのは、ローンの返済比率です。返済比率とは、自分の収入に対する返済額の割合を指し示します。年収によって適した返済比率は異なりますが、おおよそ20~25%の間に収まるように借り入れしましょう。
銀行が提示してくる「借りられる額」は返済比率30~35%程度ですが、それを鵜呑みにせず、無理なく返済できる額にきちんと収めてローンを組むようにしてください。
おすすめ記事>【年収別】住宅ローン目安表!その予算で住めるエリアは?広さは?
まとめ
金利はほんの少し上下しただけでも支払い総額に大きく影響するもの。ついつい気にしてしまうのは人の心理です。ですが、上下するものだからこそ、そこに振り回されて上手く予算計画を立てられないのでは本末転倒です。
自分でどれくらいの予算感でプランニングをしたらいいのかわからない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談して、自分にとって最も良い金額を出すことが、失敗しない住宅購入の第一歩です。
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