家を購入するならマンションかなと思っているけど、マンションでも新築と中古で迷っているあなたへ。
こちらの記事を読むことで、客観的に「購入時点の比較・ランニングコストでの比較・将来の比較」でお得度を検証することができます。
この記事を読んで理論的に理解した上で、新築の良さ中古の良さを個人的な感情も含めて決めることが出来れば後悔せずに購入することができるようになります。
目次
1取得時比較
こちらのグラフは東京・大阪・愛知における築年別の価格推移になります。
マンションは購入してから約20年まで価格が下がり続け、20年を超えると価格の推移が緩やかになる傾向です。
よって、この記事は中古マンションを購入するのであれば築20年超を推奨し、新築と築20年過ぎの中古の比較をしていきます。
1-1購入価格比較
下記表は首都圏マンションの新築と中古の価格推移を表しています。
4人家族くらいを想定して、広さを70㎡とした場合の平均価格を表しています。
2007年からのデータで、年をおうごとに少しづつ価格差が広がっている状況です。2016年には3000万円程度の開きがある状況です。
1-2購入時諸費用比較
購入する際にはどのような費用がかかるのか?
首都圏における新築と中古(築21-25年)の70㎡換算で計算してみました。
下記表では、新築と中古で違いが明確に分かる価格の合計金額をまとめました。
※この他にも不動産取得税がかかりますが、「年によって軽減税の制度が変わる・タワーマンションは階数によって変わる・場所によって土地評価額が変わる」等々の多くの変動要因があるので除外してます。
※新築マンションと中古マンションの取得時に価格差の影響は大きくない費用(印紙代、銀行手数料、司法書士手数料)等は除外しています。
2ランニング費用比較
下記表は、共通で同じ金額がかかる「管理費・土地の固定資産税」は除外し、新築と中古(築21年目)の購入後に、住宅ローンが終わるまでの35年間でのランニングコスト比較をしました。
また、それぞれフルにローンを組んだ場合の金利(長期的視点で1%で計算)と、それに関わる最大限控除できた場合の住宅ローン減税を勘案しています。
3将来の資産価値としての比較
3-1売却する場合の比較
下記表は、先ほどもでてきた東京・大阪・愛知のマンション建築当時から、経年における価格推移を表しています。
こちらからすると、新築当初から20年くらいまでは価格の下落率が高く、20年を過ぎてくると下落は緩やかになってきます。
東京では、20年過ぎた後も年によっては価格が上がった状況もみられます。
このデータからは、築20年を経過したマンションを購入することが資産価値の下落リスクを軽減できることがわかります。
よって、築20年以上の中古マンションを購入することが売却する場合に、当初購入した時点よりも損をせずに売却することができそうです。
ただし、「都心の一等地で希少価値が高い一握りの億ション」では、新築当初より価格を維持するか値上がりが期待出来るものもあります。
3-2賃貸に出す場合の比較
資産価値の観点からでは、売却だけでなく、ローン支払いを完了して賃貸に出すという考えもあります。
賃貸に出すことによって、自分の資産(マンション)を手放す必要なく、その資産を利用して月々の収入を得ることが可能です。
では、マンションの築年数によって、賃料はどうなるのか見てみましょう。
東京23区・大阪市・名古屋市の駅から徒歩7-10分にあるマンションの築年数による賃料を下記表で作成してみました。
新築当初の家賃が高いのはもっともですが、20年くらいを過ぎたあたりから家賃は落ち着いてくる状況がわかります。
新築でなくなってしまった賃貸物件を選ぶポイントは、築年数よりも「利便性」「管理状況」「お手ごろな賃料」という所が重要視されるようです。
ローン支払い完了後に「貸して賃料収入を得る」という観点からでも、値段が下がった築20年過ぎの中古マンションを購入する事が、賃料下落のリスクは少ないようです。
4それ以外の比較
4-1見た目はどう?
新築マンションの外観の見た目やエントランスの雰囲気は、ホテルのようなフロントデスクや、待ち合わせスペースを配置したインテリア装飾がされているものが多く、気分を高揚させてくれます。
このような雰囲気は一般的な築古のマンションではあまり見かけません。
中古マンションでは自身の部屋はリノベーションによっていくらでも最新設備を導入し、お洒落な雰囲気を出すことができても、エントランスや外観を変えるには組合の合意形成が必要です。
4-2ステイタスは?
結婚をして、家族が増えてくる時期に家を購入しようと検討する方が最も多いです。
そのような時期の友人の話を聞くと「新築を買う」という話をよく聞き、自分が「中古を買う」という事に少しばかりでも気が引けることはないでしょうか?
戦後の高度成長期に日本の人口がどんどん増える際はもちろん新築供給をする必要ありました。
そのため家を購入する際は当然に新築購入割合が多く、「家を購入するなら新築」というのが定説であったのです。
しかし、成熟してきた先進国では、ストックとして十分にある中古住宅を活用する事が常識なのです。
下記表は、日本・アメリカ・イギリス・フランスの中古住宅流通比較です。
いかがでしょう?
この表は少し古いデータではありましたが、下記表は2017年に作成した2005年から2016年の首都圏の新築・中古マンションの成約実績をまとめたものです。
こちらもいかがでしょうか?
日本もようやく「新築神話」から抜け出して、中古を活用していく風潮が高まり、2016年にはじめて新築を中古が抜きました。
これからは、「新築を購入する事がステイタスの高さである」という雰囲気もなくなるのではないかと思います。
4-3耐震は?
新築マンションは「新耐震基準」で建築されています。
1981年6月から新耐震基準が施行されましたので、それより前に建築確認申請がされたものは「旧耐震基準」という事になります。
よって、この記事が投稿された時点で築35年を超えるマンションは旧耐震基準になります。
もちろん、耐震性能が高い新耐震基準の方が安心です。
ただ、それだけで判断することもできません。
中古マンションは何年住める?「寿命と建て替え」3つのポイントの記事も参考にしてください。
4-4幸福学からすると?
幸福学の権威であるエリザベス・ダン博士は、「人は新しいものを手に入れた際は、最初の瞬間が最も幸せで、時間とともに幸福度は低くなっていく。しかし、今あるものを大事にすることで、その歴史が刻まれる事は、幸福度を増していく。」と言っています。
これは経済学的に言うと限界効用逓減の法則とも照らしあわせることができます。
これを新築なのか中古なのか?に置き換えて考えると、
「新築が欲しいと思った人は、新築を買った瞬間が一番幸せで、その後幸福度は下がっていく。」
「中古を買った人は、今あるものを大事に使っていく事で幸福度が上がっていく。」
という事になります。
まとめ
客観的データの数字を見ると、中古マンションに軍配があがるのは一目瞭然です。
しかし、家を購入するというのはワクワクするイベントですので、一概に数字のデータだけで決めるのは味気がありません。
新築マンションがどうしても良いというのは、「外見がカッコ良い人が好き」というくらい人間の本能的なものではないかと思います。
だから、そういうこともとても大事な要素なのです。
要は、数字のデータをしっかりと理解した上で、それでも新築マンションが欲しいという確固たる思いがあれば良いと思うのです。
自身の予算に無理がないようであれば、自分を最高に満足させるものを選びましょう。
また、このデータを見て「やっぱり自分は中古マンションが良いって思っていたんだ」という方に対しては、購入のための背中を後押しできたのではと思います。
こころおきなく中古マンション購入に向けて進んでいただければと思います。
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