住宅ローンの超効果的な繰り上げ返済方法と3つの注意点

住宅ローンの繰り上げ返済の効果

一般的に、住宅ローンの繰り上げ返済は完済までの期間を短縮できると同時に、ローンを借り始めて早い時期に行うほど利息を軽減する効果があります。

この記事では、繰り上げ返済はどの程度、利息分を減らす効果があるのかを説明します。また、繰り上げ返済に伴う3つの注意点と、住宅ローン控除を受けている場合に繰り上げるかどうかを判断するポイントについてもご紹介します。


1.効果的な繰り上げ返済の基本は早期&多額

住宅ローンの繰り上げ返済とは、銀行などの金融機関から借りたローンを返済する際、本来の月々の返済額とは別に、元金の一部を繰り上げて返済することです。

住宅ローンの毎月の返済額は決まっており(一般的な元利均等方式の場合)、元金+利息で構成されています。返済するたびに元金は減っていくので、その仕組み上、最初は利息の比率が高くなります。

繰り上げ返済は元金の返済に充当されます。繰り上げ返済した額に相当する元金残高を、先に返済することですっぽりとカットするイメージです。これにより本来支払う予定だった元金に対してかかる利息を減らせるので、元金が多く残っている早期に繰り上げ返済したほうが利息に対する節約効果は高くなります。また、額も多いほうが効果的です。

具体的に見てみましょう。例えば借入額が3000万円で、金利は固定で1%、毎月返済のみで35年返済の住宅ローンを組んでいるとします。

返済開始から1年経った時点で100万円を繰り上げ返済すると、減少する利息は39万4545円となります。同条件で10年経った時点で100万円を返済すると、減少する利息は27万5315円です。1年と10年で、利息負担に12万円近い差が付くということです。

なお、繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。上の事例では利息軽減の効果が高い期間短縮型による返済を利用しています。

1-1.期間短縮型とは

繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わらず、代わりに返済期間を短縮するタイプの返済方法です。

退職までに住宅ローンを完済したい場合などによく利用されますが、期間を短縮できるだけでなく、早期にこの方式を用いて繰り上げ返済することで利息負担を軽減できるメリットがあります。

1-2.返済額軽減型とは

繰上げ返済をする際に返済期間(総支払回数)は変えないまま、月々の返済額を軽減するタイプの返済方法です。

返済額は繰り上げ返済後の元金の残高と、残りの返済期間で計算し直すことになります。繰り上げ返済をした月以降、返済額を抑えられるのがメリットです。期間短縮型ほどの利息軽減効果は得られませんが、例えば子供の教育費が増えるのに備えて、月々の負担を少しでも減らしたいといった場合に向いています。


2.保証料が無料の銀行もあるが事務手数料が高い

繰り上げ返済は住宅ローンの負担を軽減できる優れた方法ですが、利用する際には注意すべき点もあります。特に次の3点については心に留めておく必要があります。

2-1.繰り上げ返済の手数料確認

繰り上げ返済するときに手数料がかかることがあります。特に店頭に出向いて手続きをする場合は5000~3万円の手数料がかかるケースがあるので要注意です。

ただし、最近はインターネットで手続きができる金融機関が増えており、その場合、手数料はほとんど無料となっています。

ネット経由であっても全額を繰り上げ返済する場合には手数料がかる金融機関もありますが、店頭に行くより安く済むのは間違いありません。住宅ローンを組んだ銀行のサイトなどで繰り上げ返済の手数料について調べておきましょう。

2-2.住宅ローン控除の損得

次に注意したいのは住宅ローン控除(減税)との兼ね合いです。

住宅ローン控除とは4000万円(一般住宅の場合)までの住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、借入から10年間、借入残高の1%が毎年支払う所得税と住民税から戻ってくる制度です。

つまり、繰り上げ返済をして、最初に借りた日(当初借入日)から数えた残りの返済期間が10年を切ってしまうと、その時点で住宅ローン控除を受けられなくなってしまいます。また、繰り上げ返済をしてローン残高が減ると、住宅ローン控除で戻ってくるお金も減ることになります。

そのため場合によっては、住宅ローン控除の適用期間中である10年間は繰り上げ返済せずに待ったほうがトクになるケースもあります。

その一方で、金利によっては繰り上げ返済をしたほうがトクすることもあります。条件によって異なるので、自分の場合はどうなのか、しっかりとシミュレーションをして損得を見きわめるべきです。

これについては【4】で後述します。

2-3.教育費と生活費の確保

3つ目の注意点は、無理をして繰り上げ返済をする必要は無いということです。余剰資金があるので繰り上げ返済をするというのは理にかなっていますが、繰り上げ返済をするために預金をはたいてしまったのでは本末転倒です。

特に将来かかる教育費、そして生活費の予備費は優先してしっかりと確保しておきましょう。安心して生活するための資金があることを前提に、余裕のあるときに、繰り上げ返済するかどうかを検討してください。


3.コツコツ繰り上げも効果的

生活に余裕を持たせるためにもあまりまとまった額は用意できない、けれども少額でも何回かに分けて繰り上げ返済をしていきたいという人もいるでしょう。

実はこうしたコツコツと少しずつ繰り上げ返済していくやり方も、住宅ローンの利息の軽減に高い効果をもたらします。

借入額3000万円、金利1%、35年返済の住宅ローンで見てみましょう。

1年に50万円ずつ、4年間続けて計200万円繰り上げ返済したとすると、減少する利息は73万1947円です。これに対し、4年後に200万円を一気に繰り上げ返済すると、減少する利息は69万1675円になります。コツコツ型のほうが4万円以上、利息が少なくなるという結果です。

ここでは金利を1%に設定していますが、金利が高ければコツコツ型のほうがさらに有利になります。それほどまとまった額ではなくても、コツコツと継続的に繰り上げ返済していくやり方はおトクになるということは覚えておきましょう。


4.住宅ローン控除は、金利1%以上の場合は繰り上げしてよし

最後に、2-2で取り上げた住宅ローン控除について少し詳しい説明をします。

住宅ローン控除は借入から10年間、年末時点における住宅ローン残高の1%に当たる税金が安くなります。ちなみに住宅ローン控除を受けるには、住宅ローンの返済期間が10年以上残っていることの他、マイホームの床面積が50㎡以上あることや当該年の所得が3000万円以下であることなどの条件があるので注意してください。

おすすめ記事>【2018】住宅ローン減税の全体像を解説!年収・借入額別の控除額まとめ

一方、繰り上げ返済は基本的に早い時期に利用したほうがトクをします。そのため住宅ローン控除と繰り上げ返済の損得の兼ね合いが問題になるのは前述したとおりです。

そこで目安となるのが住宅ローンの金利です。

繰り上げ返済はもとの金利が高いほど節約効果があります。大まかに言うと、金利1%以上で住宅ローンを借りている場合は、住宅ローン控除の減少額よりも繰り上げ返済の利息軽減効果のほうが高くなります。金利1%未満の場合は逆になります。

すなわち、金利1%以上かどうかが、住宅ローン控除を優先するか、繰り上げ返済を優先するかのボーダーラインになります。ただ、これはあくまで目安であり、厳密には本人の所得税額や住宅ローンの借入額によっても条件が異なります。

肝心なのは現在、住宅ローン控除の恩恵を受けている人は、繰り上げ返済を利用する際に損得をしっかり確かめる必要があるということです。必ず事前にシミュレーターなどでチェックしてください。


まとめ

ここまで見てきたように、繰り上げ返済を有効に活用するには「返済額軽減型」を選び、できれば早い段階でなるべくまとまった額を返済するのが基本となります。

さらに、少ない額でもコツコツと繰り上げ返済していくスタイルも利息軽減効果が高く、おすすめです。そして手数料、住宅ローン控除との兼ね合い、余剰資金があるときに返済するという3つの注意点についてもしっかりと頭に入れておきましょう。

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