もし、住宅ローンの支払いを厳しいと感じたら、すぐに金融機関に相談するのが最善の道です。
万が一滞納が発生すると、その後に取れる手段が少なくなってしまうからです。
近頃は、予期せぬ病気や突然の給料カット、教育費の増大、奮発しすぎた住まいの購入などによって、住宅ローンが払えなくなる40~60代の方が増えています。
もし将来的な不安があったり、今現在の支払いが苦しかったりする場合は、まずはローンを支払えなくなるとどんなことが起きるのか、そしてどんな対処方法があるのかを確認して、適切に行動してください。
目次
1.もし住宅ローンを滞納し続けたら、いつまで住める?
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住宅ローンの支払いが滞ると、最終的には家が競売にかけられ、当然家族全員追い出されてしまうことになります。
支払いが滞って1~2ヶ月で銀行からの支払い請求が、3ヶ月程度で督促状、催告書が届きます。
これらを無視し続けると3~6ヶ月程で期限の利益損失通知が、それも無視すると代位弁済通知が届き、10ヶ月程度で競売開始決定の通知が送られます。
そして、家が落札されてから2ヶ月までの間に問答無用で立ち退きを命じられてしまうのです。
リカバリーが可能なのは、最後通告でもある催告書が届いた段階まで。滞納から3~6ヶ月時点で送られてくる利益損失通知によって、「指定された期間内は分割で支払う」というローン契約の分割払いの権利そのものが喪失し、ローン残債の一括請求を求められます。
それでも支払いがされない場合に届く代位弁済通知は、銀行が保証会社に対して代わりに支払いを求め、実際に保証会社が支払い(これを代位弁済と言います)、債務返済要求を引き継ぐことになったということに対する通知です。
代位弁済通知の段階まで来ると、ローンの支払いのために家を一般売却することすらできなくなります。
「今月は家計が厳しいから無視しよう」という考えは論外です。少しでも滞納してしまったら、即座に支払うよう対処しましょう。
2.住宅ローンが払えない場合の道は3つ
「対処と言ってもどうしたらいいのかわからない」と思われるかもしれませんが、対処方法は3つ程あります。
2-1.ローンを支払い続ける
一番良いのは、何とか工夫して滞納したローンを支払うことです。まずは生活費の中からなんとか資金を捻出できないかを徹底的に見直しましょう。
収入を夫に頼っているのなら共働きを検討したり、子供が成人していれば協力を求めましょう。その他にも加入している保険が高額になっていないか、不要な内容が無いかを見直す、車を手放す、煙草や酒、趣味、娯楽を控えるなど、削れる部分から捻出してください。
家を手放すことになるリスクには代えられないはずです。
同時に、金融機関にも相談しましょう。一般的な感覚として滞納の相談を銀行にして良いのか?と思われるかもしれませんが、滞納の早期段階であれば、ローンを減額や、返済スケジュールの調整をはじめとしたなんらかの提案をしてもらえる可能性があります。
あるいは、ローン自体を借り換える方法もあります。現在のローンよりも低い金利のローンに借り換えれば、月々1~2万円程度の返済額減額が見込めます。
おすすめ記事>住宅ローンの借り換えを解説!目安の金利や条件も紹介
2-2.一般売却、あるいは任意売却をする
家を売却すれば、ある程度まとまった資金が手に入りますから、それをローン返済に充てられます。
【1】でご紹介した通り、金融機関からの通知を無視し続けると、最終手段として家は競売にかけられていまいます。では、それでローンを完全返済できるかと言えばそうとも限りません。競売にかけられると通常の相場の3~4割減の価格で買い叩かれてしまい、競売後に残債があればやはり一括返済の義務が生じます。
そのため、どのみち家を手放すことになるのであれば、代位弁済通知が来る前に一般売却をしてしまうか、任意売却をした方が賢明です。
【1】では、代位弁済通知が来た段階では一般売却はできないとご説明しました。
一般売却は持ち主が自分の意志で売却を決定し、その価格も自分で決められる通常の売却です。任意売却は、売却について債権者(金融機関または保証会社)の同意を得る必要があり、売却金額も債権者に一任しなければならない売却方法です。
任意売却するメリットは、通常の物件と同じく一般市場の相場で売ることができることと、売却後に残ったローンを分割払いできることです。債権者に売却の許可を得たら、残債の返済計画について話し合うことができるのです。
一括返済を迫られるより、返済しやすい任意売却を選ぶのが最善と言えるでしょう。
もちろん一般売却ができるに越したことはないのですが、たとえ代位弁済通知が来る前であっても、オーバーローン(住宅ローン残高が家の売却価格よりも高い状態)で、差額の残債を現金で用意できない場合は、任意売却をすることになります。
代位弁済通知が来る前の段階で、アンダーローン(住宅ローンの残高が売却価格よりも低い状態)の時のみ、一般売却ができると覚えておきましょう。
2-3.競売後、支払いを続けるか自己破産をする
一般売却も任意売却も行わず競売にかけられてしまった後は、家を出ていかなければなりません。
しかし、2-2でご紹介した通り、競売で売ったからと言ってローンが完全返済できるとは限りません。競売では市場の6~7割の価格でしか売れませんから、残債は残る可能性の方が高いと考えましょう。
立ち退きの引っ越し費用は自費ですし、新しい住まいに引っ越した後で残債を一括返済しろと言われても、多くの方は無理だという結論になるでしょう。
最終手段は自己破産です。
自己破産とは、裁判所に自身の破産を申し立て、「支払不能」であると判断された場合、全ての借金の支払いを免除してもらう手続きです。
その代わり、生活をするために最低限必要なもの以外の高額な財産は全て処分され、自由に引っ越しもできなくなります。その他にも職業や資格取得の制限、ブラックリストへの登録、自己破産から7年間の再度の自己破産の制限など、様々な制約があります。
自己破産にはいくつかの手続きがあり、ただ破産が認められただけでは借金は帳消しになりません。「破産手続き」の後に裁判所で行われる「免責審尋」において免責許可決定が出た場合のみ、借金の返済義務がなくなります。
3.病気の場合は団体信用生命保険やその他保険を確認
それまで経済的には何の問題もなくローンも無理なく組んでいたとしても、不慮の事故や病気によって支払いが難しくなるケースもあります。
そんな時はまず、加入している保険内容を確認しましょう。保障金によってローンを返済できる可能性があります。
まず押さえたいのは、一般的なローンであれば加入が必須となっている「団体信用生命保険」。ローンの契約者が亡くなっている場合は、これによって住宅ローンを完済できます。高度障害状態でも同様です。
病気の場合は、団信のオプションをチェックしましょう。金融機関によって範囲は異なりますが、疾病保障付きであれば、ガンや急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変などが保障対象となります。
団信が適用外の場合は、住宅を手放すこともやむを得ない流れになるかもしれません。しかし、労災保険や傷病手当金など、適用できる保険や制度が無いかしっかり確認して、売却活動中の資金源を確保するようにしましょう。
4.【結論】住宅ローンの支払いが厳しいと思ったらすぐ行動
「支払いが厳しいけど、どうしよう…」と悩んでいる間にも、時間はどんどん過ぎていきます。例え一度の滞納で済んだとしても、今後住宅ローンの借り換えを行う場合の審査でかなり不利になります。
迷ったら、まずは金融機関に相談してください。滞納してしまう前であれば、金融機関側も多くの対策を採ることができます。
すでに滞納してしまっているとすれば、残債を残さないため、一刻も早く一般売却か任意売却を検討し、進めてください。
まとめ
住宅を購入した時は、誰しもローンを滞納しようなどとは思っていないはず。いつの間にか支払いが苦しい状態になってしまったとしたら、一人で抱え込むのではなく、家族や金融機関の力を借りていち早く解決するように行動を始めてください。
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