これから中古マンションのリノベーションをしようと考えているなら、誰もがリノベーション後にその部屋で暮らしてみて「やってよかった」と満足できるような仕上がりになることを望んでいるはずです。安くないお金を使って、これから何十年も生活をする空間を作り上げるのに、失敗だったと思うような結果になることだけは避けなければなりません。
では、リノベーションを成功させるためには、どんなことに注意すべきなのでしょうか。ここでは4つの注意点を挙げています。どれも基本的なことではありますが、ぜひともしっかりと押さえておいていただきたいポイントばかりです。リノベーションを進めようとする前に、まず読んでみてください。
目次
1.リノベーション会社の選び方に注意。実はリフォーム会社かも
一般的に、リノベーションとは古い建物の機能や用途を変更し、性能の向上や新たな価値を付与するような大規模な改修工事のことを指します。
また、リノベーションとリフォームの違いは、
・リノベーション=修復だけではなく、新築時とは異なる用途や機能を加えて建築時とは違う次元に改修する≒改善
・リフォーム=老朽化した建物を建築当初の性能に近づくよう復元する≒修繕
という点に集約されるでしょう。
ただし、実のところこうした説明は確固とした定義に基づいていたものではなく、定義が統一されているわけでもありません。リノベーションやリフォームを手がける会社によっても、それぞれの解釈による異なる説明がなされています。
そのため、リノベーションをしたいと考えて見つけた会社が、実はリフォーム会社だったということもあり得ます。その会社では「老朽化した建物を復元する」ことを、曖昧にリフォームともリノベーションとも呼んでいるかもしれません。
会社を選択する際は、Webサイトを見るなどしてその会社が手がけた事例をしっかりと確認することが重要です。自分の考えるリノベーションの定義に当てはまるのかどうか、目的にマッチした工事をしてもらえるのかどうかをまずチェックしましょう。
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2.リノベーションを依頼する前にオープンハウスなどで確認
リノベーション会社のサイトを訪れれば多くの施工事例が載っています。
それらをよく確認すべきであることは上述しましたが、見て気に入った事例、きれいな事例があったとしても、それだけで会社を決めてしまうのは早計です。候補に入れるにとどめて、次は必ずオープンハウスなどに足を運んで現物を確認してください。
例えば、サイトを見て「コンクリート打ちっぱなし」の事例が気に入ったとします。写真からクールでおしゃれだという印象を持つかもしれませんが、実物を見てみると何となく殺伐とした印象を受けて、意見が180度変わってしまったという人もいます。
最近流行りの「土間玄関」も同じかもしれません。写真で見ると便利で快適に使えそうだと感じますが、実物を見ると印象が違うと感じたりする人も中にはいます。
ほかには、漆喰、壁用タイル、無垢フローリングといった普段あまり見慣れていない素材も、実物を見たり触れたりしないと、「リアルな印象」を得ることはできません。
これは、コンクリート打ちっぱなしや土間玄関、漆喰などがよくないと言っているわけではありません。実際に見ると印象が変わるケースもあるということです。ぜひ、ご自身の目で、実物を確認してみてください。
また、中古マンションのリノベーションでは、リノベーションできない箇所があります。リノベーションが実施できるのは区分所有者の「専有部分」のみです。
例えば、玄関扉、サッシなどは専有部分ではないので変えられません。細かく言えば「サッシのカギ」や「玄関扉のドアノブ」、「網戸」なども勝手に交換することはできません。通常、管理組合などの許可が必要となります。こうした点も現物を見ながら確認しておくと、より具体的なリノベーションのイメージが固まっていくはずです。
3.打合せ前には画像を用意すること
リノベーション会社を選んだら、次はいよいよリノベーションの依頼のための打合せに入ります。この打ち合わせは、美容院に行って美容師にカットのイメージを伝えることに似ています。中には口で説明してイメージを伝えるのが上手い人もいますが、最も手っ取り早いのは画像(写真)を見せる方法です。
プランナーや設計士と初めて打合せをするときは、なるべく多くの画像を集めて持参しましょう。自分のイメージに合う画像を探してリビング、キッチン、バスルームなどカテゴリー別に分類しておくのがおすすめです。
住まいのアイデア、インテリア写真 | Houzz (ハウズ)
画像はWebサイトや雑誌・ムックなどを見て集めるのが一般的。好きなテイストによっては海外のサイトや雑誌も役に立つでしょう。もちろん、依頼するリノベーション会社のサイトにあった事例画像、オープンハウスで撮影した写真なども大いに参考になります。
また、画像以外に要望も箇条書きなどにして整理しておくと伝わりやすさがアップします。これもリビング、キッチン、バスルームなどカテゴリー別に、優先順位をつけて要望のリストアップをしておきましょう。
4.どんな保証があるか調べること
リノベーション工事は多くの場合、リノベーション会社による保証が用意されているのをご存知でしょうか。
この保証は、工事が終了して引渡し後の一定期間内であれば、施工を原因とした不具合が発生した場合に限って無償で修理対応が行われるというものです。保証基準はリノベーション会社やグループ会社が独自に設定していることが多く、例えば内装仕上げは1年、給排水配管は2年、躯体などは10年といった保証期間が定められています。これはキッチン、ユニットバス、エアコンなどの商品ごとに付いているメーカー保証とは別のものです。
リノベーション会社による保証制度は、ある程度の規模の会社であれば当然のように設けられています。逆に言えば、こうした保証制度のないリノベーション会社は信頼性に欠けると判断してしまってかまいません。また、保証の内容についてもよく吟味しておくべきです。
さらにもう一つ、「R1住宅」という基準があることも覚えておいてください。R1住宅とは、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会が定める「適合リノベーション住宅」の規格基準に則ったリノベーションを施した中古マンションのことです。
R1住宅であると認められるには、消費者が見えない、わからない「重要なインフラ部分」13項目を対象とした検査基準に適合するための工事が必須、とされています。
重要なインフラ部分13項目とは給水管・排水管・給湯管・ガス配管・電気配線・分電盤・火報設備・下地組(床・壁・天井)・浴室防水のことで、これらに関する検査基準すべてを満たした中古マンションがR1住宅であるということです。
つまり、消費者に代わって基本的な品質を見きわめ、保証してくれるものと捉えればいいでしょう。リノベーション会社が施工した中古マンションがこのR1基準をクリアしていれば、安心して住むことができると考えられます。
まとめ
中古マンションのリノベーションは、上記4つの注意点を念頭に置いて進めていくことをおすすめします。ここまで読んでいただければわかるように、リノベーションを成功させる最重要ポイントは、安心して工事を任せられるリノベーション会社をどうやって見つけるかにかかっています。
そのために実践したいのが、
(1)リノベーション会社の手がけた事例に多く目を通し、
(2)オープンハウスなどで実物を確認し、
(3)画像を多く用意して綿密な打ち合せを行い、
(4)保証についても吟味すること、です。
また、会社との相性もあり、プランナーをはじめとする担当者との相性もあります。これらを確かめるための労を惜しまないようにしましょう。
なお、中古マンションの購入から検討している方は、全体像を把握できる【重要度順】プロがまとめた中古マンション購入の注意点5つという記事が参考になるでしょう。ぜひこちらもご一読ください。
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