リノベーションの間取り変更にかかる費用と、見落としがちな注意点

リノベーションの間取り

間取り変更リノベーション(リフォーム)という言葉をご存知でしょうか。二つの部屋を一つにまとめる、あるいは一つの部屋を二つにわけるなど、間取りの変更を目的としたリノベーションのことです。

今回は間取り変更リノベーションの種類、費用、工期、注意点などをまとめてご紹介します。


1.間取り変更リノベーションの種類

間取り変更リノベーションとは、壁(間仕切り)を撤去する、もしくはつくることで、複数の部屋を一つにまとめて大きな部屋にしたり、逆に一つの部屋を複数に分割したりするリノベーションのこと。代表的な種類としては次の二つが挙げられます。

1-1.一部屋を二部屋にわけるリノベーション

一つの部屋の中に壁や引き戸などの間仕切りを設置して、部屋を二つに分けるリノベーションです。二人の子供が成長してきたので子供部屋を二つにわけたいといったケースがこれに当たります。通常の壁を造作する方法、壁の代わりに引き戸を備え付ける方法、簡易的な間仕切りを設ける方法などがあります。

1-2.二部屋を一部屋にまとめるリノベーション

二つの部屋の間にある壁を撤去して、一つの大きな部屋をつくるリノベーションです。リビングとダイニング、あるいはキッチンまでを一つの部屋としてまとめるケースなどがこれに当たります。


2.間取り変更の費用・相場

一部屋を二部屋にわけるリノベーションでは、どんな間仕切りを設置するかで費用が変わります。

壁のみをつくる場合は10~20万円、壁とドアを新設すると30~70万円、壁ではなく引き戸を取り付けると10~16万円というのがおおよその目安です。またアコーディオンカーテンの取り付けなら5~8万円、ロールスクリーンの取り付けなら4~6万円で可能です。

ただ、部屋数を増やすと、これ以外にもコンセントの増設、照明スイッチの増設、照明の取り付け、エアコンの新設などの費用がかかることも覚えておきましょう。

一方、二部屋を一部屋にまとめるリノベーションの費用は、壁撤去と簡単な補修で18~30万円というのが目安です。簡単な補修とは、壁と天井は溝を板などで埋めてクロス仕上げし、床は見切り材で補修するといったものです。

もう少し大掛かりに、例えば二つの部屋をつなげた上でフローリングを全張り替えするなどすれば、当然、さらに多くの費用がかかります。


3.間取り変更の工期

一部屋を二部屋にわけるリノベーションの工期は、壁を造作する場合で2~3日が目安です。引き戸やアコーディオンカーテン、ロールスクリーンなどを設置する作業であれば1~2日で済むでしょう。

二部屋を一部屋にまとめるリノベーションはもう少し時間がかかります。壁を撤去して簡単な補修をする工事は4日ほど必要です。フローリングの張り替えなどの作業が入る場合は5~6日かかるでしょう。

なお、リノベーション中は基本的にほかの部屋で過ごすなどすれば、そのままの生活を続けられます。

ただ、水回りを変更する際、水道管に関わる作業時には、トイレなどが使用できなくなるケースがあります。数日間トイレが使えないような状況が予想される場合は、ホテルに泊まるなどの対処を考えましょう。


4.【戸建て】間取り変更リノベーションの注意点

家の構造を大きくわけると、柱同士を組み合わせて線で支えるタイプと、壁同士組み合わせて面で支えるタイプの二つがあります。このうち、線で支えるタイプであれば比較的自由に壁を撤去できます。しかし、面で支えるタイプは壁自体が家を支える構造になっているため、壁の撤去が難しくなります。

また、線で支えるタイプであっても、耐力壁と言われる地震などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力を持つ壁は、基本的に撤去できません。壁を取り除く際は、耐力壁部分だけは残すのが一般的です。

さらに戸建て住宅の工法によっても、間取り変更リノベーションの難易度は変わってきます。

4-1.木造軸組工法

日本の伝統的な工法である木造軸組工法は、柱と梁で骨組みを作るタイプなので壁の撤去などが比較的容易です。

4-2.ツーバイフォー(2×4)工法

典型的な壁で家を支えるタイプなので壁撤去が難しく、間取り変更リノベーションをするにはこの工法をよく理解している会社を選ぶ必要があります。

4-3.鉄筋コンクリート(RC)工法

柱と梁で家を支える「ラーメン構造」と、壁で支える「壁式構造」があります。ラーメン構造の方が間取り変更リフォームは容易です。

4-4.鉄骨工法

鉄骨の柱や梁でつくる鉄骨工法には重量鉄骨造と軽量鉄骨造(プレハブ工法)があり、重量鉄骨造は間取り変更リノベーションの自由度が高く、軽量鉄骨造は自由度が低いという違いがあります。


5.【マンション】間取り変更リノベーションの注意点

マンションの場合の間取り変更リノベーションの難易度は、戸建て住宅における鉄筋コンクリート(RC)工法と基本的に同じです。

「ラーメン構造」と「壁式構造」の二種類があり、ラーメン構造のマンションは間取り変更リフォームが容易です。これに対し、壁式構造のマンションは壁の撤去や移動が難しく、リノベーションを行うには多くの制約があります。

しかしその前に、マンションの場合はそもそもリノベーションの際は管理組合の許可を得なければなりません。分譲マンションでは管理規約にリノベーション(リフォーム)工事に関する取り決めが記載してあります。

基本的に、室内の専有部分で、なおかつマンション自体の構造に影響のない壁に変更を加えるのなら工事できるはずですが、その場合でもまずは管理組合やオーナーに相談するのが原則です。これを怠ると面倒なトラブルに発展しかねないので注意しましょう。


6.あなたにピッタリの業者を探すには?

自分に合った業者を探すには、まず目的と工事内容を明確にすることが大事です。以下、そのためのポイントを挙げていきましょう。

6-1.やりたいことはリフォーム?それともリノベーション?

リフォームとは古くなった設備や内装を新しくする、元の状態に戻すことを指します。住まいの改修全般を指す言葉としてもよく使われますが、厳密には古い住まいを修復して建築当初の状態に戻すという意味が含まれています。

そのリフォームに似た言葉に、リノベーションがあります。リノベーションは、改修を通して古い住まいに性能の向上や用途の変更をもたらし、新たな付加価値を与えること、といった意味の言葉です。単に大掛かりな改修を指すこともあるのですが、専門的にはその中に「新しい価値を与えて住まいを再生させる」というニュアンスが含まれています。

そのため、間取り変更リフォームを考える際は、間取りを変えることで快適さを取り戻すような、修復に近いイメージのリフォームがやりたいのか、それとも新しい価値を生み出すような間取り変更でリノベーションを実現させたいのか…という点を明確にすることが大切です。

目的をはっきりさせれば、依頼先をリフォーム会社にするか、リノベーション会社にするかという選択も、おのずと答えがわかってきます。とはいえ、これら二つの言葉は同義語として使われてる場合も多いのが実情です。

6-2.間取りをまるごと一新するなら

もう一つ、スケルトンリフォーム(スケルトンリノベーション)と呼ばれる手法があります。言葉が被っているので混乱しやすいのですが、スケルトンリフォームとは建物の内装や設備をすべて一旦取り除き、構造躯体(スケルトン)のみの状態にした上で間取りを一から変える全改装工事のことを指します。

スケルトンリフォームのメリットは、家の間取りをまるごと変更できること、さらに配管・配線、水回りなども全面変更できることです。リフォームの上位にリノベーションがあり、そのリノベーションの一種として、さらにスケールアップした工事であるスケルトンリフォーム(スケルトンリノベーション)があると考えればわかりやすいでしょう。

間取りをすべて一新したいという希望があれば、このスケルトンリフォームも選択肢に入ります。

6-3.リフォーム会社・リノベーション会社

リフォーム会社か、それともリノベーション会社か、どちらの会社に依頼するかという方針が定まったら、具体的な工事内容を考えながら目的にマッチした会社を探していきましょう。

リフォーム会社を探すには、「リフォーム会社、比べて、選べる。|ホームプロ」というリフォーム会社紹介サイトが便利です。どこをリフォームするのかという「箇所」、何を目的にするのかという「テーマ」から絞り込んで、地元のリフォーム会社を探せます。

一方、リノベーション会社の探し方は、「自分にピッタリのリノベーション会社の選び方がわかる6つの手順」で詳しく説明しています。ネットを使った検索の仕方などが書いてあるのでぜひ参考にしてください。


まとめ

ここまで間取り変更リノベーション(リフォーム)の種類、費用と工期、注意点を見てきました。後悔のない間取り変更リノベーションを実現させるには、どんな工事を行うのがベストなのかをじっくりと考え、吟味することが重要です。

依頼する会社を決めたら担当者にしっかりと希望を伝え、また相手からの提案にもよく耳を傾けてください。そして十分に納得した上で「これなら大丈夫」という確信が持てたなら、GOサインを出すようにしましょう。

リノベ体験記:間取り成功のお手本!デンマーク風の作りこみ過ぎないリノベ事例。

リノベーションしたリビング

実際にリノベーションした家族がどんなところに工夫をし、こだわったのか見てみませんか?今回のリノベーションは、ドアを極力作らない、間仕切りの壁も必要なぶんだけ。実はドアがあるのはお風呂やトイレに向かうサニタリールームの1枚のみ。そんな作り込み過ぎない間取りによって、広さ、眺め、ひかり、子供の様子や気配を感じるゆったりした生活を得られるようになりました。