住宅ローンの連帯保証人になるのはNG!?低リスクローンの組み方

住宅ローンの連帯保証人

住宅ローンを利用するとき、状況によっては連帯保証人が必要となることがあります。中でも多いのが、借入額を増やすために夫が銀行からお金を借りて主債務者となり、妻が連帯保証人になるというケースです。

しかし、連帯保証人になることにはリスクが伴います。それはなぜなのか、そもそも連帯保証人とはどのような責任を負うものなのか…?住宅ローンにおける連帯保証人について解説します。


1.連帯保証人が必要になるのはどんなケース?

住宅ローンを借りるときには連帯保証人が必要とされる場合と、不要な場合とがあります。連帯保証人を立てる必要があるのは次のようなケースです。

1-1.夫婦など二人で収入合算をする場合

例えば夫の名義で住宅ローンを組む際に、妻の収入を加えた収入合算をすると借入額を増やせます。その場合、民間の銀行のローンでは妻(収入合算者)が連帯保証人になるのが一般的です。フラット35では連帯債務者になることが条件となります。

1-2.夫婦や親子でペアローンを組む場合

ローン名義は別々にしますが、二人の収入を合算して審査することで借入額を増やすのがペアローンです。夫婦または親子がそれぞれお互いの連帯保証人となります。契約方法によっては連帯債務となる場合もあります。

1-3.土地や建物が共有名義の場合

共有名義の場合、代表者がローンの名義人になり、その他の共有名義人が連帯保証人となることがあります。

1-4.親名義の土地に住宅を建てる場合

親が土地を提供し、子がローンを組んで住宅を建てる場合は、土地の名義人であり担保提供者である親が連帯保証人となるケースがよく見られます。

また上記以外に、自営業者やフリーランスの場合、借入額に対して年収が少なかったり勤続年数が短かったりした場合、その他、審査の結果によっては連帯保証人が必要となることがあります。

では連帯保証人が不要なのはどんな場合かと言えば、基本的に不動産が単独名義であれば、年収や審査結果に問題がない限り、連帯保証人は求められません。代わりに、住宅ローンを組む際には銀行の子会社などの保証会社に保証料を支払う形になるのが一般的です。

まとめると、土地や建物が共有名義だったり、親名義の土地に住宅を建てたりする場合を除くと、一人では収入や信用が足りない場合に連帯保証人が必要とされます。

つまり、銀行から連帯保証人を求められたときは、無理な借入額の住宅ローンを組もうとしている可能性があるということです。その場合は安定した返済が可能かどうか、ファイナンシャルプランナーに相談してライフプランを作成してもらうことをおすすめします。

付け加えれば、収入合算やペアローンは出産のタイミングなどで収入が減る可能性があります。これらを利用するときは、そうした点を十分に考慮しておく必要があります。

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2.連帯保証人が負う責任とはどんなもの?

連帯保証人になると、主債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負います。それだけでなく、連帯保証人には以下3つの権利がありません。

2-1.催告の抗弁権がない

例えばローンの返済が滞った時、まずは主債務者に返済請求がいく…というイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。債権者(銀行)は、主債務者でも連帯保証人でも、好きな方に返済を請求できます。主債務者より先に、連帯保証人に返済の請求もできるということです。

つまり、連帯保証人には、債権者に対し、連帯保証人(自分)より先に主債務者への返済の請求を主張する権利が無いのですわかりやすく言うと、銀行に「まずは主債務者に請求してください」と主張すること(=催告の抗弁)ができません。

2-2.検索の抗弁権がない

連帯保証人は、主債務者が返済できる状態にもかかわらず返済を拒否した場合でも、債権者に対して主債務者への請求を主張する権利がありません。

主債務者に資力があることを理由に、債権者に対して主債務者の財産に強制執行をするように主張すること(検索の抗弁)ができないため、主債務者が返済を拒否した場合には連帯保証人が債権者に債務(住宅ローン)を返済しなければなりません。

2-3.分別の利益がない

連帯保証人が複数人いる場合、すべての連帯保証人が主債務者の債務を全額返済しなければなりません。

つまり、人数分で割って均等にした債務を支払うことができないのです。例えば主債務者が3000万円の住宅ローンを借り入れていて、3人の連帯保証人がいた場合、一人あたりの債務は3分割された1000万円ではなく、3000万円になるということです。


3.離婚した場合、連帯保証人という立場はどうなる?

そしてもう一つ知っておくべきなのが、離婚した場合はどうなるかという問題です。

前提として、離婚をしたとしても、連帯保証人という立場は変わりません。なぜなら銀行との契約であり、夫婦であるかどうかは関係がないからです。

例えば夫が主債務者で妻が連帯保証人になっていて、離婚後も連帯保証人のままでいたとします。元夫が支払っていた住宅ローンの返済を滞納すると、連帯保証人である元妻のもとへ督促状が送られて来ます。そうなれば元妻は残債を自分で支払っていかなければなりません。

家に住んでいるのが元妻(と子供)である場合は、ローンが返せず、家に住めなくなるかもしれません。

元夫が勝手に自己破産をしてしまうというリスクもあります。この場合も住宅ローンの残債を支払う義務はすべて連帯保証人である元妻が負うことになります。

結果、よくあるのが、芋づる式で連帯保証人も自己破産をしてしまうというケースです。もしも離婚した場合には、こういったリスクがあることも頭に入れておきましょう。

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4.それでも欲しい家がある。連帯保証人の審査基準

以上見てきたように、将来を含む様々なリスクを考えれば、連帯保証人が必要な住宅ローンを組むことは原則としておすすめできません。

しかし、子供の教育のために、あるいは親の面倒を見るためになど、連帯保証人を立ててでもお金を借りて家を持たなければならない事情がある人もいるでしょう。

その場合は、連帯保証人にも審査があることに注意をしてください。クレジットカードや携帯料金、税金などの滞納を繰り返している、あるいは消費者金融の借り入れがある等で信用情報機関に記録が残っていれば、連帯保証人になるための審査に落ちる可能性が高くなります。

これは連帯保証人にも主債務者と同様に、返済能力が問われるためです。例えばの話、夫が主債務者で妻が連帯保証人になろうとして審査に落ち、それをきっかけにして妻が消費者金融などから借入をしていることがバレてしまった…といったことも起こりえます。


まとめ

連帯保証人を立てれば確かに住宅ローンの借入額を増やすことができるかもしれません。

しかしそれはリスクを増やすことでもあります。

例えば夫婦のどちらかが連帯保証人になると、考えたくないことではありますが、将来、主債務者が自己破産したときや、離婚したときには大きなダメージを受ける恐れがあります。

家の購入は人生においてとても大事なイベントです。けれどもそれは、幸せな生活を手に入れるための買い物でなくてはならないはずです。

無理のある住宅ローンを組んで抱え込み、何十年もギリギリの返済に追われる生活を続けることを望む人は多くないでしょう。連帯保証人が必要な住宅ローンを組む場合も、大いに慎重になる必要があります。

余裕の持てる、そしてリスクを減らすための選択とは何か、住宅ローンを組むときはそのことを考えてみてください。

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