住宅ローンを頭金なしで安心購入。その方法とリスク回避術

住宅ローンの頭金なし

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頭金なしでも家の購入は可能です。頭金だけでなく、諸費用まで融資してくれる金融機関もあります。

その場合は借入額が増えるため、購入後の「もしも」のための貯金をしっかりすることが、リスクを減らす助けになります。

また、返済比率を意識することも重要です。借りられる額と返せる額には差があるため、安心できる範囲での借り入れが必須となるのです。上記の要素を考えるときに役立つのが、ライフプランの作成です。

この記事では、頭金の基本からリスクヘッジの方法、今すぐ購入する場合と貯金してから買うときのシミュレーション、また住宅購入に対する考え方をご紹介しています。

その上で、ライフプランがなぜ重要なのかまでお伝えしていますので、住宅購入する前に、ぜひ参考としてください。


【1】頭金なしはダメ?物件価格の2割は必要と言われる理由

住宅ローンを組む場合はまず頭金を支払い、残りを借り入れるのが一般的とされています。頭金の割合は2~3割が相場と聞いたことがある人も多いでしょう。

しかし、頭金なしでも住宅ローンを組むことはできます。金利はかかるといえ、最終的には支払うものなら、借り入れて返済しても同じではないかと考えることもできます。

では、なぜそもそも頭金の有無やその金額が議論されるのか見てみましょう。

1-1.かつては銀行の審査が通らなかったから

今から15年ほど前までは、頭金なしで住宅ローンを融資してくれる銀行がありませんでした。頭金が用意できなければローン審査に通らないのが常識だったのです。また、当時の金利は変動金利でも4%ほど。今では考えられないくらい金利が高かったため、頭金を支払った方が確実にお得だったのです。

1-2.家はローンが残っていると売ることができないから

物件を購入後、何らかの理由で家を売却しなければいけなくなったとします。その場合、ローンの残債金額以上で物件が売れるなら問題ありませんが、売却価格が残債よりも低い金額だと、融資した銀行が売却を許可してくれません。不足分を現金で補填する必要があります。

このとき、現金が用意できないかもしれない(=ローン残債が多い)のは大きなリスクです。頭金を入れた方が、ローンの残債はかなり抑えられる、つまりリスクが低くなるということになります。

1-3.住宅ローンが超低金利なうちに決めるのも手

前述のように一昔前は住宅ローンの金利が高かったため、借りる額を減らした方が良いのが常識でしたし、今以上に総返済額に大きな差額が生まれるためインパクトがありました。

しかし、今は超低金利の時代。頭金を貯める間に金利が上昇する可能性もありますし、マイホーム購入に使えたはずのお金が毎月の家賃として流出していきます。

となると、住宅ローンが超低金利なうちに購入を決めてしまうのもひとつの方法です。従来なら用意しておくべきだった頭金を、繰り上げ返済や「もしも」の売却時に備えて現金として貯めておくという選択肢も、有効だと言えるでしょう。


【2】注意!頭金なしでも家の購入にはお金がかかる

頭金なしでもマイホームの購入はできますが、注意したいのがそのほかにも費用がかかるということです。

まず、物件価格以外に仲介手数料、登記費用、保証料、火災保険料などの諸経費がかかります。目安として、中古物件を購入する場合は、物件価格の8~10%を考えておきましょう。

>>おすすめ記事【保存版】中古マンション購入の諸費用を具体例で全て解説!

さらに、新居での生活を貯金ゼロでスタートさせるのはなにかと不安が付きまといます。突然お金が必要になる事態に備えて、生活費の半年分程度は貯金しておきたいところです。


【3】頭金なし諸費用なしで家の購入は可能か

予想以上に諸費用にお金がかかると思った人も多いかもしれません。ここで浮かんでくる疑問が、住宅ローンに諸費用を含めることができるかどうかではないでしょうか。

結論から言うと、諸費用を住宅ローンに含めることは可能です。ネット銀行の住宅ローンなら、仲介手数料や火災保険料、引越し費用まで含めてローンを組んでくれる銀行もあります。フラット35で住宅ローンを組む場合、頭金なしで借り入れることは可能ですが、諸費用は融資の対象となりません。また、頭金なしだと金利が上がるので注意が必要です。

>>フラット35の融資率について

ただ、仮に諸費用などもすべて含めて住宅ローンを組むとしても、返済比率は守らなければなりません。

返済比率とは年収に対する年間の返済額の割合のことです。銀行が提示するのは単純に借りられる額であって、契約者の生活に即した無理なく返せる額ではありません。自分に見合った返済比率をしっかり計算した上で、無理のない返済計画を立てる必要があります。

返せる額については、こちら【マンション購入】年収300万~1000万が買っていい本当の価格

【年収別】住宅ローン目安表!その予算で住めるエリアは?広さは?の記事もおすすめです。


【4】今から頭金を貯めるとチャンスを逃す可能性がある?

1-3で、超低金利の現在は頭金を貯めずに購入するのも一手と述べましたが、このことについてもう少し詳細に考えてみましょう。

超低金利だからこそ金利は今後上昇する可能性があります。そして、高金利であれば確実に頭金を入れた方が得になる計算も、低金利だとそうはならないのです。

頭金を貯めたことで得する金額 < 頭金を貯めるまでにかかる住宅費

こうなってしまっては、頭金を用意するメリットが激減してしまいます。

では、

①頭金なしですぐに3,000万円を借り入れた場合
②賃貸住宅に住んで毎月10万円の家賃を払いながら、5年で頭金600万円を貯金して2,400万円借り入れた場合

上記で比べてみましょう。前者は35年返済で固定金利1.27%、後者は30年返済で固定金利は同じく1.27%とします。

①頭金なしですぐに借り入れ

②頭金を貯めてから借り入れ

頭金

0

600万円

借入額

3,000万円

2,400万円

毎月返済額

88,512

80,206

総返済額

37,175,279

28,873,962

購入までにかかる家賃

0

12,000,000

総必要額

37,175,279

40,873,962

差額は370万円近くです。

総返済額自体は頭金を用意してから住宅ローンを組んだ方がもちろん少ないのですが、購入までの家賃と頭金の貯金を考慮すると、すぐに住宅ローンを組んだ方が安く済む結果になります。

実際は不動産価格や税制、金利情勢の影響を受けるため、どうなるかはわかりませんが、このように低金利の今は、数年後に住宅を購入するより必要額が少なくて済むケースが大いに考えられます。

また、現在の健康状態がずっと続くとも限りません。いざローンを組もうとしたときに、三大疾病などに罹ってしまい、ローンを組めなくなる可能性もゼロではないのです。


【5】住宅へのこだわりが多ければ頭金を貯金すべき

このように、頭金がなくても家の購入は可能ですが、借りる人の年収または世帯年収、物件によって、住宅ローン審査に通る金額は異なります。

本記事では生活が苦しくならない返済比率で計画を立てことをおすすめしていますが、そのために借入金額が減ればそれだけ購入できる物件の選択肢が狭まることにもなります。

もし、返せる額が求める物件の理想と乖離しているなら、現在の家計を見直して頭金を用意し、借入額を減らす方法も選択肢の一つです。

また、借入額を増やす方法として、夫婦二人の名義で住宅ローンを組む「ペアローン」という方法もあります。しかし、夫婦の年収を単純に合算して限界額を借りるのはおすすめしません。どちらか一方の収入が減ったり仕事を辞めざるを得ない状況になると、ローン破綻しかねないためです。

おすすめ記事>>住宅のペアローン、本当に組んでもいいか夫婦でしっかり確認を!

家は幸せになるためのツールですから、購入費用で生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。それならば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してライフプランを作成し、趣味や老後資金、教育費用を確保してから、残った金額を住宅購入に充てる方が、人生全体の安心感が得られるのではないでしょうか。


まとめ

金利が高かった一昔前では頭金を用意するのが常識でしたが、今の時代では頭金なしで住宅ローンを組むべきかどうかは各家庭のライフプランに左右されます。

頭金あり、頭金なしそれぞれのリスクをしっかりと理解した上で、まずは信頼できるファイナンシャルプランナーと一緒にプランを作成して、住宅購入への道筋を作ってみてはいかがでしょうか。

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