この頃よく耳にするリノベーション。リノベーションとリフォームの意味の違いは実は大きくあります。この記事では、リノベーションとリフォームの違いや、メリットとデメリットについて解説します。
目次
1.リノベーションとリフォームの意味合いの違い
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実はリノベーションとリフォームには厳密な定義や線引きはありません。各種メディアや、リフォーム会社、リノベーション会社が、それぞれの解釈で使っているのが現状です。
そのため、依頼する場合はそのリフォーム会社やリノベーション会社がどういった工事をしてくれるのかをしっかりと確認する必要があります。
また一般社団法人リノベーション住宅推進協議会では以下のように定義しています。
リノベーション
機能、価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した包括的な改修。リフォーム
原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処。もう少しかみ砕くと、リフォームは設備交換や内装張り替えなど原状回復のための修繕、不具合箇所への部分的対処といった意味で使われます。つまり、古くなった居住空間を新築に近いレベルに修繕・修復するというニュアンスです。
壁紙やフローリングを張り替える、キッチンやユニットバスを取り替えるといったことも挙げられます。もっとも、大規模な増改築をリフォームと呼ぶこともあるので、広範囲な意味を持つ言葉でもあります。
一方、リノベーションは新たな機能や価値を作り出すための改修といった意味合いで使われることが多い言葉です。住む人のライフスタイルなどに合わせて居住空間を丸ごと作り変える、もともと建物が持っていた性能以上の付加価値を与えて再生させるというニュアンスです。
写真の通り、部屋の中をコンクリートの箱の状態にまで解体しゼロから壁を自由な場所につくっていくため、今までの間取りにとらわれることはありません。
リノベーションは、間取りの変更はもちろん、最新設備の導入や自分たちが取り入れたいものを空間に反映していくため、書斎や防音室などを作ることも可能です。
>>【ワクワクが止まらない】タイプ別リノベキッチン事例23選
これらの事例のように、住む人の価値観によって、間取りもテイストも大きく変わるのがリノベーションです。
リフォーム済み物件・リノベーション済み物件の違いって?
- このごろ増えつつあるリノベーション済み物件。これは、個人や不動産会社が内装を綺麗にしてから販売しているものを指します。多くの場合、リフォーム物件とリノベーション物件の意味合いの差はあまりありません。一部ではこだわって作った物件も存在しますが、多くはリフォームの範疇であることを物件検索サイトなどでみれば理解できます。そのため、リフォーム済み物件もリノベーション済み物件も、「きれいなった物件」という認識でいれば問題ありません。
ではどんな住まい方が自分たちに合っているのか、築浅物件を購入してリフォームするのと、中古物件(築20年以上)を購入してリノベーションするのと、リフォーム済み物件を購入する3つのメリットデメリットを比較します。
2.築浅リフォームVS中古リノベVSリノベ・リフォーム済み物件
新築マンションの購入でない限り、マンションを購入する際は、築浅の物件を選んでリフォームするか(築浅リフォーム)、築古物件を選んでリノベーションするか(中古リノベーション)、リノベ・リフォーム済み物件を選ぶかという、大きく分けて3つの方法があります。それぞれのメリットデメリットを比較して、自分たちに合っているものを選んでいきましょう。
*築浅物件にそのまま住む、築20年以上の物件にそのまま住むという選択肢もありますがここではわかりやすくするためはぶきます。
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2-1.築浅マンションリフォームのメリットデメリット
築5~10年程度の築浅物件を購入してリフォームする方法です。築浅リフォームでは工事範囲が部分的・表面的になるのが一般的で、そのため工事費用を安く抑え、工事期間も短期で終えることができます。引っ越し前に賃貸物件に住んでいる場合は工事期間中、家賃と新居のローン返済が並行して発生するので、その期間が短くなるのはメリットです。
ただし、工事の内容は壁紙の張り替え、設備の交換などを行うことがメインとなります。間取りや居住空間のデザイン、機能が大きく変わることはないので、その点が物足りないと考える人もいるでしょう。また物件の数はそれほど多くはありません。
2-2.中古マンションリノベーションのメリットデメリット
築20年以上の中古マンションを購入してリノベーションする方法です。中古リノベの一番の特徴は自由な設計ができることです。間取りの変更も、キッチンを移動することも、テイストをがらりと変えることも可能です。また、築20年を超えた物件は、新築や築浅物件と比べると購入価格が非常に安く、駅近や人気エリアなど好立地の物件も多いのもメリットです。
反面、工事費用が高く、工事期間が長くなるというデメリットもあります。また、スケルトン(解体工事)した結果、購入時には想定外だった住まいの劣化による問題点が見つかることもあります。ただ、これは例えば配管の寿命などをチェックでき、必要に応じて交換できるということでもあります。
リノベーションの費用については、【事例付き】リノベーション費用の算出方法と予算の抑え方をご確認ください。
また、リノベーションに必要な期間や細かなステップについては、スケルトンリノベーションとは?費用・相場・期間を全て解説をご確認ください。
2-3.リノベ・リフォーム済み物件のメリットデメリット
個人や不動産会社がリノベーションまたはリフォームをして売り出している物件です。リノベ・リフォーム済み物件のメリットは、そのまますぐに入居できることです。また、これからリノベーションやリフォームをする場合と違い、完成品を見てから購入を決められるのも利点でしょう。
しかし、完成しているがため、気に入らない部分への妥協は必要になります。また、床下を通っている配管などの状態までは確認しづらいという側面があるため、物件の良し悪しを慎重に見きわめなければなりません。何をどのようにリノベーションまたはリフォームしたのか、十分な説明を受ける必要があります。
>>中古マンションの配管寿命は?築38年の物件を買っても大丈夫?
3.リノベーションでできないことがある
なんでもできるように感じるリノベーションですが、できないこともあります。これはリフォームをする場合も共通します。
3-1.共有部分の変更はできない
玄関ドア、サッシなどは専有部分と思いがちですが、共有部分扱いとなります。そのため、自分たちで勝手に交換することはできません。もちろん破損しているなどの場合は、そのマンションの管理組合へ話を持っていくことで解決することがほとんどです。
3-2.そのマンションの規約による制限
マンションによっては、水回りの大幅な移動や、フローリングの使用を制限しているところがあります。これから中古マンションを購入してリノベーションをしようとする場合、命取りになりかねません。購入前に規約の確認をしっかりとする必要があります。
3-3.パイプスペースは動かせない
上の図面の赤枠で囲われたところはPS(パイプスペース)といい、上の階から下の階までの排水パイプが通っているため位置をずらすことができません。そのため、上の図面だとトイレの向きや位置は移動していても、PSの位置は動いていません。注意点として、PSからあまり離れた場所に水廻りをおくと、配管の勾配がとれないためうまく給排水できなくなるおそれがあります。
以上が代表的なリノベーションでできないことです。
まとめ
リノベーションとリフォームの意味の違いは、住む人のライフスタイルに合わせて既存の住まいを根本的に設計しなおすかどうかです。
また、築浅物件にも、中古物件(築20年〜)にもメリットデメリットはありますが、大事なのは住まいに使っていい予算を超えないことです。
予算も含めた中古マンション購入の注意点の全体像を確認する場合は、【重要度順】プロがまとめた中古マンション購入の注意点5つをご確認ください。
また、中古マンションのリノベーションについての基礎が知りたい方は、中古マンションリノベーションの教科書〜安心予算で理想の暮らし〜をご確認ください。
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