【マンション購入/賃貸】トータル費用が一緒なら何を基準にする?

マンション購入か賃貸か

マンション購入か賃貸か、よく話題に上るテーマですが、金額面では、差はほとんどなく、どう生活するかで変わってしまうので一概に言えない。というのが世の中での結論です。

その中で本記事では、ライフスタイルや日々の幸福度から購入が良いと結論を出しています。今のまま賃貸生活を続けていくか、それとも思い切って購入に踏み切るか…現在この2つの選択肢で迷っているなら、ぜひ読んでみて参考にしてください。

また、独身の場合の購入と賃貸の考え方については、マンションは購入か賃貸か?独身者が本当に選ぶべきなのはどっち?をご確認ください。

40代の場合の購入と賃貸についての考え方は、【40代】マンション購入か賃貸か、何を基準に決めればいい?をご確認ください。


1.マンション購入より賃貸が向いている人の例

結論としては購入をすすめますが、実はマンションを購入するよりも賃貸の方が向いているという人もいます。まずはその実例から見てみましょう。

1-1.数年内に近くにある実家をもらえる

数年以内に実家を相続することが決まっていて、なおかつ実家から現在の会社に勤務可能、子育てのための環境も確保できるなどの条件がそろっているのなら、マンションの購入はやめておいた方がいいでしょう。

言うまでもなくマンション購入には物件の購入代金、その他の費用が必要です。購入後、数年間住んで売却するという方法も考えられますが、その場合も諸費用はかかります。せっかくマンションを購入しても結果的に損をするケースが多いのです。

ただし、数年ではなく10年、20年後に相続するというシナリオが見えているのなら、マンション購入も選択肢に入るでしょう。万一相続ができなかったとき、賃貸で十数年分の家賃を払い続けていると、マンション購入のための資金が確保できない可能性があるからです。相続できることになったとしても相続税が発生するため、結果的に土地を含め売却することになるのもよく見られるケースです。

1-2.転勤が多く移動範囲も広い

転勤が多い場合は、家庭ごとの事情によって賃貸か購入かを考えることになるでしょう。転勤先でも常に家族全員で暮らすことを優先するなら賃貸を選ぶことになります。単身赴任するのなら購入も有力な選択肢になるはずです。

転勤が一時的なものなのか、今後も数回続くのか、最終的に落ち着く先が決まっているのかによっても考え方は変わります。会社からの家賃手当が出る、あるいは社宅があるのなら、ゆくゆく購入することにして、そのために住まいの購入資金を貯蓄することもできます。

1-3.子供が高校生などで大きい

数年後に子供が大学に進んで一人暮らしを始める、または社会人となるといった場合は、購入を少し待つのが無難です。子供が実家に戻ってくる回数が限られるとすると、必要なマンションの広さや間取りが大きく変わるためです。

夫婦二人だけで過ごすことになる可能性がある場合は、大学合格や就職のタイミングで購入を検討した方が現実的な判断が下せます。同じエリアのマンションでも10㎡で1000万円の差が出る場合もあります。

1-4.自宅で仕事ができる環境

フリーランスなどで通勤する必要がなく、打ち合わせなどもインターネットを活用してできるのなら、土地の安いエリアの賃貸住宅を選んでも問題ありません。ネット環境さえあれば地方で暮らすことが可能という人もいるでしょう。これからの時代、こういった働き方、暮らし方にシフトしていける人は増えていく可能性が高いです。

家庭の事情や価値観との兼ね合いもありますが、仕事が許すのならライフスタイルの変化に合わせて賃貸で住み替えをしていくのも一つの方法です。子供が自立してからは夫婦二人で田舎に越すという未来も考えられます。

1-5.新しいモノや場所が大好きな人

単純に、生活する環境や設備がいつも新しい状態であることが好き、一つの場所に縛られたくない、いつかは海外生活がしたい…といったタイプの場合は賃貸の方が適しているでしょう。たとえマンションを購入して金銭面で得をしたとしても、どこかに定住するのはその人にとってはさほど幸福とは言えないのではないでしょうか。

お金のことも重要ですが、自分たちがどんな暮らしを望んでいるのか、どんな価値観を持っているのかを夫婦間、家族間でしっかり確認することもとても大切です。

では次に、金額面はどちらがいいのか見ていきましょう。


2.購入VS賃貸の支払額シミュレーション

マンションを購入した場合と賃貸に住み続けた場合で、住居に対する支払額はどのように異なるのでしょうか。

このことに関しては書籍やWebサイトでさまざまなシミュレーションで比較されています。最初にお伝えした通り、両者にさほど大きな差はないというのが大方の見方であり結論です。ただし、一般的に次のようなことがいえるでしょう。

・住宅ローンの返済は最長35年で完了するため、35年以上住むなら購入の方が安くなる。
・若いうちは賃貸の方が負担は少なく、老後は購入した場合の方が負担は少ない。
・賃貸の場合は引っ越し回数、賃貸料の上下動によってトータルの支出額が異なる。

購入にかかる費用としては、物件の購入代金、諸費用(中古は物件価格の10%、新築は5%)、住宅ローンの利息、管理費・修繕積立金(合わせて毎月3万円前後)、固定資産税(毎年15万円前後)などがあります。リフォームやリノベーションを行えばその分の費用も必要です。

一方、賃貸にかかる費用には、入居時の敷金・礼金・仲介手数料、2年ごとの更新料、共益費を含む毎月の家賃などがあります。引っ越しをすれば引っ越し代金や新たな敷金・礼金・仲介手数料がかかります。

支払額シミュレーションではあまり変わらないものの、結果に影響を与える要素はたくさんあるというのが結論です。


3.購入VS賃貸のメリット・デメリット比較

購入と賃貸のメリットとデメリットはどうでしょうか。各種アンケート調査を見ると、全体としては購入派の方が満足度は高いようですが、賃貸派の満足度も決して低いわけではありません。それぞれ代表的なメリット・デメリットを見てみましょう。

3-1.購入のメリット

分譲マンションは長く住み続けることを前提として設計されているため、一般的に賃貸マンションよりも設備や仕様のグレードが高い傾向にあります。そのため住人の住み心地や快適性に対する満足度も高くなります。

またリフォームやリノベーションによって間取りや内装を変更できるのも強みです。自分たち好みの部屋に作り変えられるのは大きなアドバンテージといえるでしょう。

もう一つ、ほとんどの場合で住宅ローンを組む際に団体信用生命保険への加入が義務付けられているのもメリットに挙げられます。団信に加入していれば、万一、加入者が死亡する、または高度障害になった場合には債務弁済され、ローンを支払い続ける必要がなくなるからです。

3-2.購入のデメリット

購入する場合の最大のデメリットは、住宅ローンが破綻するリスクがあることです。銀行が審査をして上限額を提示し住宅ローンが組めたとしても、借りられる額と返せる額は異なります。背伸びをし過ぎた住宅ローンを組んでしまうと、返済できなくなる、あるいはローンが家計を著しく圧迫する可能性があります。

>>【年収別】住宅ローン目安表!その予算で住めるエリアは?広さは?

他には、近隣トラブルなどに巻き込まれると引っ越ししづらいこともデメリットです。新築の場合はとくに上下左右の住人について確認できないのでリスクが大きくなります。中古マンションであれば内見の際に近隣環境についてヒアリングすればある程度の情報が得られるのでリスクは軽減されます。

3-3.賃貸のメリット

賃貸における最大のメリットは、変化するライフスタイルに柔軟に対応できることでしょう。子供が生まれたり人数が増えたり、自立して家から出たり、親の介護が必要になって近所に住むことにしたりといったときに比較的簡単に住み替えができます。長年住み続けていて周囲の環境が変わったので引っ越したいといった場合も同様です。

また給湯などの部屋に備え付けられている設備の修理や管理の必要がないのもいいところです。建物自体の大規模修繕費なども必要なく、これらは貸主が修繕・管理してくれます。とはいえ、ほとんどの場合、このような費用負担も計算して賃料が決められています。

3-4.賃貸のデメリット

真っ先に思い浮かぶデメリットは、たとえ定年退職した後でも家賃が発生し続けることです。老後の家賃については年金を考慮した上でしっかり計算しておく必要があります。

しかも、たとえ長年一箇所に住み続けて家賃を支払ったとしても、最終的に住まいは自分の所有物とはならず、資産として残りません。子供世代のために家を残せないのをデメリットと感じる人もいるでしょう。

他には、リフォームなど住居のカスタマイズ性が低い点も不満に感じるかもしれません。また建物の建て直しや取り壊しが決まった場合は、その決定に従って引っ越すことになります。


4.老後までの長期的な安心感が今日の自由を決める

さて、ここで改めて購入か賃貸かというテーマに対する結論を述べてみます。多くの専門家が「購入がいい」「賃貸がいい」という意見を述べていますが、本記事では「購入」をおすすめします。

理由は購入の方が金銭的なメリットがあるからではありません。注目すべきポイントは、マイホームの購入をきっかけとして教育費や老後資金に関して真剣に考え、プランニングし始める人が多い点にあります。

賃貸暮らしを続けている場合は、貯蓄計画や老後のプランについて切迫した問題として向き合うことは少ないでしょう。住宅の購入は綿密なライフプランを立てる契機になるということです。

住宅ローンを組んで毎月・毎年の出費が明確になれば長期的な資金計画が作成できるようになります。

毎月使っていい金額も見える化されるため、漠然と「お金を使っていいのかわからないから買わないでおこう」と考えて生活が豊かになったはずの商品の購入を諦めたり、逆に衝動買いをして「散財してしまった」と後悔したりするようなことも減るはずです。

欲しいものがあるならどれだけ働けばいいか、節約すればいいのかがはっきりするので、ポジティブに日々を過ごせるようにもなるはずです。老後までの計画がしっかりと立てられている状態になれば日々の安心感も違ってきます。

賃貸派の人でも、友人などが住宅を購入したという話を聞けば多少気持ちが揺らぐものです。年齢を重ねるほど住宅ローンの審査や返済期間の縛りは厳しくなっていきます。

老後の家賃をどうするかという問題も含めて、ずっとそういった迷いや不安を抱えて日々を過ごしていくのは不自由だとも考えられます。

以上の理由により、できることなら、住宅ローンを抱えても問題のない範囲内、購入後も趣味も旅行も子供の教育もできる予算内でマンションを購入することをおすすめします。

賃貸の年金暮らし高齢者の犯罪が止まらない理由

BBCに取り上げられている悲しいニュースがあります。それは、日本の高齢者犯罪が増加し続けているというもの。その理由が、家賃と医療費を払うと暮らしていけないため、刑務所に入るというもの。

>>日本の年金生活者が刑務所に入りたがる理由

賃貸暮らしだけが理由ではありませんが、購入しないことのリスクの1つであると言えます。住まいの購入は長期の貯金計画を立てる最高のタイミングでもあります。将来のことをしっかりと見据えて計画を立てましょう。


5.マンションを購入できるかセルフチェック

マンションを購入すると決めたとしても、実は購入しづらい状況にある人もいます。どのような場合に購入が難しいのかについても知っておきましょう。

5-1.転職したばかりの人

転職して間もない人の場合は住宅ローンの審査が通らないケースが多くなります。転職してすぐでも同じ業種に転職している、スキルアップのための転職だと評価されるような場合には審査が通る確率は上がりますが、それでも苦戦することは確かでしょう。一般的には「勤続年数3年以上」が一つの目安となります。

>>【保存版】住宅ローン審査に落ちないための基準まとめ

5-2.諸費用がない人

マンション購入時には不動産取得に関する税金、登記にかかる費用、住宅ローンの手続きにかかる費用、火災保険料などの諸費用が必要になります。この諸費用は現金で用意するのが一般的で、マンション価格の10%程度です。諸費用を住宅ローンに組み込む、あるいは別途ローンを組むことも銀行によっては可能ですが、そこまで余裕のない状況でマンション購入に踏み切るのはリスクが高いといわざるを得ません。

>>【保存版】中古マンション購入の諸費用を具体例で全て解説!

5-3.大きな手術を受けた、あるいは現在病気を持っている人

住宅ローンを組む際は、ほとんどの場合、団体信用生命保険(団信)の審査があります。団信とは債務者が住宅ローンの返済途中で死亡または高度障害になった場合、ローン残債を死亡保険でまかなって全額返済するという仕組みの保険です。

団信の審査では、心筋梗塞脳卒中、がんなどの病気について過去3年以内に該当する病気で手術を受けたことや医師の治療・投薬を受けたことがあるかを質問されます(告知審査)。病歴や通院歴があれば必ず審査に落ちるわけではありませんが、数年以内に大きな手術を受けた、あるいは現在大きな病気にかかっている場合は、審査に通らないことがあります。

>>団信の告知内容の解説と告知義務違反の具体的リスク

5-4.自己破産やクレジットカードなどの支払い遅延履歴がある人

住宅ローン審査では個人の信用情報を確認されます。過去5~10年の間に自己破産や任意整理をした経験があると審査に通るのはかなり難しくなります。またクレジットカードの滞納、携帯料金の滞納などを繰り返した履歴がある場合も信用情報に記録され、審査の際に不利な材料とされます。

>>【保存版】住宅ローン審査に落ちないための基準まとめ


まとめ

マンションを購入するか賃貸で過ごすか…この記事での結論は「できれば購入した方がいい」です。両者の選択は今後、自分がどのような暮らしをしていくのかという問題に大きく関わってきます。

損得だけではなく、安定した暮らしがしたいのか、自由を優先したいのかといった自身や家族の価値観とも照らし合わせて判断をしてください。

中古マンション購入の全体像については【重要度順】プロがまとめた中古マンション購入の注意点5つをご確認ください。

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実際にリノベーションした家族がどんなところに工夫をし、こだわったのか見てみませんか?今回のリノベーションは、ドアを極力作らない、間仕切りの壁も必要なぶんだけ。実はドアがあるのはお風呂やトイレに向かうサニタリールームの1枚のみ。そんな作り込み過ぎない間取りによって、広さ、眺め、ひかり、子供の様子や気配を感じるゆったりした生活を得られるようになりました。